モミモミ調理は子どもの夏休みにも有効

母が「モミモミ調理」をはじめたのは、90歳半ば頃。私が出版した『ポリ袋漬けのすすめ』(文化出版局刊)がきっかけになりました。

『ポリ袋漬けのすすめ』(文化出版局 刊)を手に
写真=鈴木泰介
※『103歳の食卓』より

今や私の定番ともなった「ポリ袋調理」ですが、ヒントになったのはタイでの経験です。30年ほど前、姉が仕事でタイに赴任していたので、母や家族とよく遊びに行っていました。滞在中に、ちょくちょく屋台でテイクアウトしたのですが、どこの屋台も料理をポリ袋に入れて持たせてくれるのです。揚げ物などのおかずはもちろん、驚いたことにフォーなどの汁麺も。それがなかなかいい。容器要らずでゴミも少なく、汁もれをすることもないし、手軽です。これはいろいろ使えるな、とひらめきました。ポリ袋ならどこのキッチンにもあるし、コンパクトにストックできますから。それ以来、ポリ袋を使ってつくる料理をあれやこれやと研究し、1冊にまとめました。

この本を参考にして母はポリ袋を使ってせっせと副菜をつくるようになりました。手の運動にもなるモミモミ調理は高齢者におすすめですが、実は子供にもなかなかウケがいいんですよ。遊び感覚でモミモミ。それが料理になるから喜びはひとしおです。

材料はキッチンバサミで切れば安心。さらに母のようにホットプレートで加熱すれば調理も安全です。

たとえば適当に切ったハムや野菜、そしてご飯と調味料をポリ袋に入れます。そこに卵を割り入れてからモミモミ。全体が馴染んだらホットプレートにざーっと広げて炒めます。卵に火が通ったらチャーハンの出来上がりです。

荻野恭子『103歳の食卓 母とつくり上げた卓上クッキング』(プレジデント社)
荻野恭子『103歳の食卓 母とつくり上げた卓上クッキング』(プレジデント社)

そしてもう一品。缶詰めの焼きとりをポリ袋に入れて卵を割り入れ、モミモミ。ホットプレートで加熱して卵が半熟状になったら温かいご飯にのっけます。子供たちにも大人気の親子丼が出来上がり!

さらにモミモミはおやつづくりにも一役買います。ヨーグルト、好みのフルーツ、砂糖を袋に入れてモミモミ。袋ごと凍らせればフローズンヨーグルトに早変わり。ボウルも泡立て器も必要ありません。

最初は親子で一緒につくってください。コツがわかれば次からは子供だけでもつくれるはず。自分でつくる楽しさを覚えてしまったちびっこは、どんどん進化していきます。材料を変えたり、味つけを工夫したり。夏休み中にレパートリーが増えること間違いなしです。

フレンチトースト
フレンチトースト
写真=鈴木泰介
※『103歳の食卓』より

材料(1人分)
食パン(6枚切り)……1枚
卵液
 卵……1個
 牛乳……大さじ2
 バター……大さじ2
シナモンパウダー、メープルシロップ……各適量

つくり方
1 ポリ袋に卵液の材料を合わせてモミモミして混ぜる。
2 食パンを4等分に切って1に入れ、卵液を全体にしみ込ませる。
3 ホットプレート(鍋)にバターを熱し、2を入れて両面を香ばしく焼く。皿に盛ってシナモンパウダーをふり、メープルシロップをかける。