欧州勢に加え、米国や中国の投資家も集中

6月下旬以降、日本株は堅調な展開が続いている。7月11日の引け値ベースで日経平均株価は4万2224円02銭、東証株価指数(TOPIX)は2929.17ポイントに上昇し、終値で過去最高値を更新した。東証プライム市場の時価総額は、はじめて1000兆円を上回った。

日本株上昇を牽引したのは、海外投資家の積極的な買いとみられる。今年の年初以降、特に目立つのは欧州の大手投資家の買いといわれている。ここへきて、主な買いの主体がやや変化しているようだ。欧州勢に加え北米、中国などアジアの投資家も日本株に買いを入れている。

海外のファンドマネージャーと話をすると、彼らの間ではやや長い目でわが国経済への成長期待が盛り上がりつつあることがわかる。省力化の機会や先端の半導体などの分野で、設備投資が増加していることも成長期待を支えた。東京証券取引所が上場企業に収益性の向上に取り組むよう要請したことも、投資家の注目材料の一つだ。

4万2224円02銭で取引を終えた日経平均株価を示すモニター
写真提供=共同通信社
4万2224円02銭で取引を終えた日経平均株価を示すモニター=2024年7月11日午後、東京都中央区

日本株はもう“高コスパ”とはいえない

ただ、今後の日本株の動向についてはやや気になるポイントがある。7月第1週の終了時点で、日本株の割安感はほとんどなくなっている。米国や中国経済の先行きを考えると、国内企業の業績拡大は考えづらい。いずれ日本株の上値は抑えられ、どこかで調整局面入りする可能性は高そうだ。

最も重要なファクターは、わが国の企業が成長過程を続けることができるか否かだ。それができれば、長い目で見てまだ上値余地はあるだろう。

2024年の年初、3万3000円台だった日経平均株価は、3月中旬にかけて上昇した。その後、相場は調整した。4月中旬に3万7000円台まで日経平均株価は下げた。6月の半ばごろまで、おおむね3万8000円台を挟んでもみ合った。

株式市場の展開の転換点になったのは、海外投資家による日本株買いだ。東証プライム市場の委託取引において、海外投資家は約68%のシェアを持つ。6月に入って以降、日本株を買った海外の投資主体は、年初から3月までと異なる。

日本証券取引所の『海外投資家地域別株券売買状況』によると、年初から5月まで、欧州勢は日本株を買った。欧州勢が日本株を買った背景には、ユーロ圏経済の先行き不透明感の高まりがあったとみられる。