個人レベルの業務効率化はすでにやっている

「組織的な改革は難しくても、個人レベルで業務効率化を図ればいいのでは?」という意見もあるかもしれません。これについては、教員一人ひとりがすでに取り組んでいると思います。たとえば私の場合、以下のような工夫をしています。

・テストの際、答案用紙を提出した児童から順に採点する

国語や算数、理科、社会、漢字テストなどたくさんのテストがあるのでテスト時間中に処理するようにしています。保育園のお迎えがあるので、放課後に採点する時間がないからです。また、帰宅後も育児や家事があり、自宅で採点する時間もありません。児童にとっても、できるだけすぐに返却したほうが間違い直しがしやすく、効果的です。若手のころは、よく定時を過ぎてから遅くまで残業して採点したり、自宅で採点していました。

・テストの採点で「100点中」の部分を省略する

「100」と記入しないで、「/」と省略して記入するようにしています。その分、採点にかかる時間が短くなりました。学級に30人以上いる場合、特におすすめです。

答案の採点
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自分の給食を少なくして、時間を確保

・自分が食べる給食の量を少なくする

こうすると早く食べ終えられます。その分、児童と話したり、児童の食事を確認したりする時間が増えます。

・会議や研修の司会を担当する場合、1人の教員が話す時間の目安を示す

例えば、放課後16時から会議があるとします。定時が17時なので、1時間で会議が終わるようにします。会議に10個の案件があれば、1時間で終わるように「1つの案件、5分程度でお願いします」と時間の目安を伝えています。

ただ、これらの工夫をしても、残業や持ち帰り業務がほとんど減らないぐらいの業務量があります。勤務時間内に次の日の5~6時間分の授業の準備をすることができないのが現実です。

アメリカのように「夏休み3カ月」は不可能

以前、アメリカから転校してきた児童を担任したことがあります。その児童に聞いて驚いたことがあります、その児童が通っていたシカゴの小学校は、5月末から8月末までの3カ月間が夏休みなのです。そして、8月末から新年度が始まるのです。

教員目線で捉えると、年度末処理と新年度準備を3カ月間かけてできるのです。私が勤める大阪では、春休みは2週間(平日10日間程度)です。初任の頃、4月は死ぬほど忙しい「死月」と先輩教員に教わったほどです。残業や家に持ち帰って仕事をしないと、教科書を開いて授業の準備をするのもままならないまま、1学期が始まってしまいます。

だからといって、アメリカのように日本も夏休みや春休みを増やすことは現実的ではありません。そこで、教員の業務負担を減らす「学校版・働き方改革」のアイデアを紹介いたします。微々たるものですが。