スタメンと打順は監督が決めるものだと思っていた

監督は「中間管理職」である。

そう自覚してから、選手・コーチ・トレーナーとのコミュニケーションは劇的に変わりました。

その変化が顕著に見えるのが、スターティングメンバー(スタメン)や打順の決め方です。

2015年、2016年シーズンは、ほとんど私がスタメンと打順を決めていました。試合前練習の際、バッティングコーチに各選手の状態を聞いたりはしていましたが、最終決定は私が下していました。「スタメンと打順は、監督が決めるものだ」という先入観があったのです。

しかし「私のやり方でやってください」という2016年までのコミュニケーションを反省した私は、今のスタメン・打順の決め方が本当にベストなのか、バッティングコーチに意見を聞いてみることにしました。

すると、意外なことがわかりました。

「試合前練習を見て状態を見極めてからからスタメン・打順を決める」より、「試合前練習のときにはすでにスタメン・打順が決まっている」ほうが、調整をしやすいというのです。

なるほど、そうだったのか。新たな気づきを得た私は、スタメン・打順を決めるタイミングを早めるようにしました。

球場
写真=iStock.com/Willard
※写真はイメージです

それぞれに原案を持ち寄って相談する合議制に変更

自分の知らなかったことを教えてもらい、その意見のおかげでチームがうまく回り出すのは、楽しいものです。

やがて私は、「ヘッドコーチやバッティングコーチは、どんなスタメン・打順がベストだと考えているんだろう」と思いを巡らせるようになりました。

もちろん、私は私なりに、毎試合、ベストだと思えるスタメン・打順を考えていました。

しかし、ヘッドコーチやバッティングコーチが考える「ベスト」は、また違うものなのかもしれない。チームにとって、よりよい案が見つかるかもしれない。そう思い、スタメン・打順の決定を、私とヘッドコーチ、そしてバッティングコーチ2人の計4人による合議制に変えました。

私は4パターンのスタメン・打順を考え、ヘッドコーチとバッティングコーチにもそれぞれ原案を考えてもらい、それらを持ち寄って、どれがベストかを話し合います。

私も各コーチも、原案を提示しながら、「なぜこの選手を起用したいと思ったのか」「なぜこの打順を組んだのか」を説明します。コーチの意見を聞く中で、「なるほど、さすがによく観察しているな」と感じることが多くありました。私は現役時代、ピッチャーでしたから、バッターの状態の些細な変化には、なかなか気づかないものなのです。