「緑のたぬき」と「赤いきつね」

東京都知事選(6月20日告示―7月7日投票)は、3選を期す小池百合子知事(71)に、蓮舫元立憲民主党参院議員(56)が挑む、事実上の一騎打ちの構図となった。SNS上では支援団体や過去の選挙イメージカラーから、東洋水産のカップ麺に例えて「赤いきつねと緑のたぬき」などと投稿され、話題になっている。

東京都知事選のポスター掲示場と都庁舎(東京都新宿区、2024年6月24日)
写真=時事通信フォト
東京都知事選のポスター掲示場と都庁舎(東京都新宿区、2024年6月24日)

小池、蓮舫両氏は報道キャスター出身、閣僚、政党代表を経験、高い知名度、発信力を持つ女性政治家という共通点もある。ただ、政治力や政策のスピード感、組織運営の実績などでは、小池氏が一枚も二枚も上なのは否めない。6月18日の公約発表を経て、選挙戦が本格化したが、小池氏が選挙情勢でも広い支持基盤に支えられ、優位に立っている。

自民、公明両党は小池氏、立憲民主党や共産党が蓮舫氏を支援するため、与野党対決とも位置付けられるが、小池氏が勝利しても、岸田政権の得点になることはない。蓮舫氏は、仮に敗れても、年内にも行われる次期衆院選で東京の小選挙区への鞍替え出馬が取りざたされ、政治的リスクはほとんどないといわれる。

「小池都政をリセットするのが使命」

今回の首都決戦に先に名乗りを挙げたのは蓮舫氏だった。5月27日に立憲民主党本部で記者会見し、「自民党政治の延命に手を貸している小池都政をリセットするのが使命だ」「反自民政治、非小池都政の姿勢で臨む」と述べ、無所属で出馬する意向を表明した。

前日の5月26日投票の静岡県知事選で、立民党・国民民主党推薦候補が当選しただけでなく、東京都議補選目黒選挙区(欠員2)で、立民党の元都議(元蓮舫氏秘書)と無所属の元目黒区議が当選し、小池氏が推した自民党元衆院議員が落選したことが「影響していないと言えば、嘘になる」と明け透けに語った。

蓮舫氏の出馬表明は、小池氏の3選出馬への表明が予想された都議会定例会初日5月29日の2日前というタイミングだった。小池氏は、蓮舫氏のペースに乗せられたくないこともあって、出馬表明を延期する。蓮舫氏は、29日には都議会の立民、共産両党会派を訪れ、激励される場面をメディアにアピールした。

蓮舫氏は6月2日、東京・有楽町で街頭演説に立ったが、「七夕に予定されている都知事選に蓮舫は挑戦します。ご支援よろしくお願いします」と呼びかけ、公職選挙法(事前運動禁止)違反の疑いを指摘(告発)されるなど、波乱含みのスタートとなった。