「J-REIT(日本版不動産投資信託)に新しいページを開きたい」。三木真人社長がこう意欲を語るシンガポールのGLP(グローバル・ロジステイック・プロパティーズ)投資法人が昨年12月21日、東京証券取引所に株式を公開した。

上場前から同銘柄の人気は高かった。通例であれば、J-REITにはあまり関心を示さない海外機関投資家からは10倍超の需要が、日本国内の機関投資家からも4倍超の需要があったほどだった。公開価格6万500円に対し、上場初日の終値は6万3600円の5.1%高。その後も人気は衰えず、1週間後の大発会では6万9400円まで値を伸ばした。

昨年の年初以来、J-REIT指数の伸びは27%、TOPIX3.2%と比べれば、その伸びは一目瞭然である。

しかし、こうした外部環境の要因は、GLP投資法人の株価が急騰した背景のほんの一因でしかない。株価が急騰した真の理由は、従来のJ-REITにはない工夫、徹底したサービスの提供にある。

2001年に、日本ビルファンド、ジャパンリアルエステイトの2銘柄でスタートしたJ-REITは、現在37銘柄にまで増えているが、全銘柄の時価総額の合計額は、4兆円どまりである。米国のREIT「サイモン・プロパティー」1社で時価総額が、4兆円を超えることを考えれば、規模は小さい。

今回株式を公開したGLP投資法人が投資家、特に海外機関投資家に高い支持を得ている理由は、今まで日本にはなかった、投資家サイドに立った“道具立て”にある。

詳しく言うと、それは親会社に株式15%(日本の場合は通例数%程度)の投資口(一般企業の株式にあたるもの)を持たせていることと、「利益超過配分」を日本で初めて導入したことの2点である。

前者は、経営の責任をより明確にするために経営陣のボーナスを、投資口のパフォーマンスに連動させるもの。後者は、米国などでは当たり前とされている制度だが、利益に関係なく、投資物件の減価償却費の30%相当を上乗せした配当を支払うものである。GLP投資法人が業界をどう変えていくか、注目が集まっている。

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