「即寝」のため、忘れてはならないのが「ストレスの緩和」です。人はリラックス状態でないと健やかに眠れないので、寝る前に極力ストレスを取り除いておく必要があります。おすすめは、ノートを活用したメソッド。今日あった嫌なことを書き出して、ノートを閉じたら「今日はもうおしまい」と言って、引き出しにしまう。簡単なことですが、気持ちを切り替える効果が期待できます。逆に、「3 good things」という今日あった良かったことを3つ書き出す方法もあります。

軽めのストレッチもいいでしょう。硬くなった筋肉をほぐすと、心もリラックスできます。また呼吸法もストレスの緩和に非常に効果的。できれば腹式呼吸、難しければ胸式呼吸でも構いません。ポイントは、吸う時間に対して倍の時間をかけて息を吐くこと。これにより交感神経から、リラックスのための副交感神経優位の状態に切り替わり、スムーズな入眠を促します。

「即起き」については、「即寝」のパートで解説した光の覚醒効果を逆手にとって活用するといいでしょう。防犯上の問題がなければ、カーテンを少し開けておいて、朝日が入ってくるようにしておくのも手。照明にタイマー機能があればぜひ活用しましょう。

さらに、「即起き」で重要なのは、「目が覚めたらすっきりと起きられるんだ」と信じる「気持ち」です。私たちの半数近くには、実は「自己覚醒能力」というものが備わっています。これは、「何時に起きる」と強く思うことにより、それに近い時間に起きることができるという能力。練習すると磨けるスキルでもあるので、アラームで保険をかけつつ、チャレンジしてみる価値は大いにあると思います。

【図表】「5時間快眠法」の全体イメージ

「睡眠の質」を左右する食事・飲酒・入浴

「即寝・即起き」で、布団の中での無駄な時間を省いたら、次は「睡眠の質向上」。即寝のメソッドのほとんどが、そのままよりよい睡眠につながりますが、ほかにも実効性の高い方法がいくつかあるのでご紹介します。

まず非常に重要なのが、「食事の規則性」。食事をとると血糖値が上昇し、その後インシュリンが出て血糖値が低下。これによって体内時計が整うと考えられています。そのため、朝昼晩の3食を決まった時間に食べ、体内時計を正しい時間に“同期”することが大切です。また食後3時間は消化で胃腸が働いているので、このタイミングで寝ようとしても深く眠れません。仮に深夜0時に就寝するならば、午後9時までには夕食をすませるようにしましょう。帰宅時間が遅くなる場合は「分食」といって、午後7時前後に軽食、帰宅後にカロリーの低いスープなどをとると胃腸の負担を軽減できます。

また、食事に関連してもう一点気をつけたいのが、お酒です。アルコールが分解されるときに体内で発生するのがアセトアルデヒド。この物質は睡眠を妨げるため、翌日に眠気や疲労が残ることが多いのです。食事と同様、飲酒も就寝の3時間前までには終えることが理想です。さらに覚えておきたいのは、食事をとると体温が上がるということ。人間は体温が下がってくると眠くなるので、その点からも食べてすぐに寝るのは得策とは言えません。

しかし、この「体温と眠気」の関係性を逆に利用するならば、眠りたい1〜2時間前に、一度体温を上げておくというのもひとつの方法です。そうすれば、その後徐々に体温が下がり、自然に眠気がやってくるというわけです。体温を上げるために有効なのは入浴。内臓まで温まり、その熱が徐々にゆっくりと手足から放出されていきます。深部体温が低下し、これに伴い眠気がやってくるという仕組みです。