「100m先でもいるのがわかる」と言われるほどの声量

こんなふうですから、村中が家族みたいなものなんです。1年前に夫が亡くなったとき、なにもする気が起きなくなってしまった私にも村中の人が声をかけてくれ、市場やら老人会やらに連れ出してくれました。

あのまま落ち込み続け、家から一歩も出ずに過ごしていたら、とっくに心も体もダメになって、今頃は寝たきりになっていたかもしれません。

村の人たちのおかげで、私は今こうして笑顔で元気に過ごすことができているのです。だから、私もまだまだ人のためにお役に立ちたい。誰かのために、なにかをしたいと思っています。

歳をとりまして、体が思うように動かないことは確かにあります。けれど、それを嘆いていても仕方ありません。

毎日たくさん歩いてラジオ体操をして、村の人とたくさんおしゃべりをする。それができているうちは「なんでもやろう」という気持ちでおります。

ちなみに、私は声がとっても大きいんです。海を越えて、みなさんのいる本土(沖縄の人は「内地」と言います)まで聞こえているかもしれません。

子どもの頃から「100m先にいても吉子がいるのがわかる」と言われるほど、とにかく声のでかい吉子として村では有名です。

声の大きさを見込まれて、老人会の運動会で、老人会の歌を大勢の前で独唱しないかと言われたこともあります。「私でよければ」と引き受けて歌ってみましたら、とっても気持ちがよかったわ。

辺戸岬、沖縄
写真=iStock.com/okimo
※写真はイメージです

大きい声を出せばストレス解消になる

老人会の仲間と合唱する機会もありました。ところが、あまりに私の声が大きいため他の人の声が聞こえず、これも私の独唱のように聞こえたと、息子に笑われてしまいました。

一緒に歌った方には申し訳ないことをしましたが、せっかくならみなさんも私に負けず大声を出してほしいですね。だって、大きい声を出すのも健康のためにはいいことですから。

ただ、私の場合は「出す」のではなくて、自然に大きい声が出ます。私の母もずいぶん声が大きかったので、遺伝なのかもしれません。

声は大きいですが、私は耳が遠いわけではありません。近所の自動販売機の「ガシャン」というジュースが落ちる音で目が覚めてしまうくらい、聴力はすごくいいです。

毎日耳は丁寧に掃除していますし、大きい声を出してストレスを解消しているから、体にも耳にもいいのかもしれません。ありがたいことです。

あんまり声が大きいので、内緒話をしても周りに丸聞こえでございます。だから私には隠しごとはいっさいございません。