両親の年金は十分あり、貯蓄も約8000万円あるが、自由には使えない

川崎家のライフプランの相談は、もともとたかしさん本人が望んだもの。たかしさんに促されて、母親から筆者あてに申し込みの電話がきた。そして面談の数日前に、たかしさんから今までの経緯や現在の心境をつづったメールが届いた。

そのメールには、長いあいだ父親の機嫌に怯えて暮らしており、父親と暮らしている現状がとてもつらいこと。生活保護を受けて、ひとり暮らしをしたいが、可能かどうかを面談日でいいので教えてほしいこと。人から嫌なことを言われると、数年単位で引きずってしまうので、できるだけ厳しいアドバイスはしないでほしいということなどが、メールの文面にびっしりと綴られていた。

寝室の闇の中で携帯を使用する人
写真=iStock.com/Ake Ngiamsanguan
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そんな川崎家との面談当日。数日前までは、ご両親だけが私の事務所にお越しになり、たかしさんはオンラインの形で面談に参加することになっていた。新しい場所に行くと、緊張して話ができなくなる可能性があるとのことで、面談とオンラインを組み合わせたご相談になる予定だった。

だが、面談の前日。たかしさんから、「自分も面談の場所に行こうと思う」と言い出されたという。実際、父親、母親、そしてたかしさんの3人との面談相談が実現した。

面談の際、最初は、今までの生活状況などについて説明をしてもらい、その次に、川崎家の資産状況を確認した。

【川崎家の家族構成】
父親(79歳)
母親(77歳)
長女(56歳) 結婚して海外在住、帰国予定なし
長男(53歳) 当事者

【資産状況】
父親の貯蓄 3400万円 年金24万円
母親の貯蓄 4500万円 年金16万円
長男の貯蓄 800万円(親からの贈与) 国民年金保険料は20歳から親が支払い中

川崎家の資産状況としては、父親の貯蓄が3400万円くらい。年金額は企業年金も含め、手取りで24万円ほど。退職時に貯蓄は5000万円を超えていたが、年金では足りない生活費の負担や特別支出の負担で、3000万円台まで減ってきたそうだ。