人間と同じように動くソフトウェアが生まれる
AIの登場は、世界の産業界の新陳代謝を促進している。今後の競争激化に対応するため、エヌビディアはGPUやAIトレーニングをサポートするソフトウェア(CUDA)の強化を急いでいる。また、同社は生成AIの先を見据えたプロジェクトにも着手した。より汎用性が高く、人間と同じように動くソフトウェアや装置の開発を目指している。
米国の有力IT先端企業は、特定の機能をもつソフトウェアを開発し成長した。表計算、文書作成、さらにはネット通販のアルゴリズムなどだ。ユーザーはスマホ上でアプリを操作し、資料作成や商品購入などを行う。
ただ今のところ、スマホに話しかけ、すべての必要性が瞬時に達成できるには至っていない。エヌビディアは、個人のアシスタントとして働き、必要な情報、知識、データを提供するAIを目指している。わたしたちはAIの提供内容を使い、報告書の作成や自己研鑽を効果的に実行できるようになる。
感情を理解し、法令と常識に従った言動も必要
エヌビディアはその手段として、“ヒューマノイドロボット(人間のようなロボット)”向けのチップとソフトウェア開発も強化している。大規模言語モデル(LLM)と呼ばれるオープンAIなどのモデルを超越し、わたしたちのように自律的に思考し、行動する機械(ロボット)の創造を目指している。
ヒューマノイドロボットに搭載されるAIは、わたしたちの脳と同じような働きを発揮することになるとみられる。そこで求められる機能は、ユーザーが必要とする情報(検索の結果やソフトウェアの作成コードなど)の提供にとどまらない。
適正にエネルギーの効率性を高めながら、ロボットの動作を制御することも必要だ。喜怒哀楽などユーザーの感情を理解し、意思疎通することも求められる。法令を遵守し常識と良識に従った言動も必要だ。
汎用型AI、さらに高性能な人工知能の創造で、日常生活でそうした新しい装置が活動する可能性は高まる。エヌビディアは多くの消費者がイメージしていない社会を思い描き、チップやソフトウェアの開発体制を強化している。