海外につながっている大学
石川理那さん(多賀城高校2年生)は、医療、かつ、国際という仕事がしたいと考えている。さて、高校卒業後はどのような学校に進みますか。
「看護大か薬科大に進学して、国家試験を取って、研修を受けて……と考えています。青年海外協力隊にも参加したいので、語学力も必要だとは思うんですけど、医療でいちばん必要なものは、コミュニケーション能力というか、相手を思いやる気持ちだと思うので、そういうものも学生生活で得られればいいなあと思います」
具体的な学校名は頭の中にありますか。
「はい。九州にある日本赤十字九州国際看護大学か、栃木にある国際医療福祉大学で。福岡は、ちょっと遠いので、距離とかお金の面とかで考えていくと、ちょっとあれなんですけど。どちらも国際活動や国際研究などを(積極的に)していて、必要なことを学ぶことができると思ったからです」
日本赤十字九州国際看護大学は福岡空港から地下鉄・JR・バスを乗り継いで50分の福岡県宗像市にある。2001(平成13)年に開学した看護の単科大学だ。現在の学部学生数は470人。インドネシア、ベトナム、タイ、韓国の計6大学と交流協定を結んでいる。国際医療福祉大学は栃木県大田原市にあり、JR東北新幹線の那須塩原駅から車で約20分。1995(平成7)年に開学。現在は保健医療、医療福祉、薬学(6年制)の3学部を持つ。学部学生数は4201人(大田原キャンパスのみを集計)。ベトナム、中国、オーストラリア、合州国、台湾、タイの大学もしくは医療機関が学生の海外研修先として提示されている。
石巻編(連載第23回《http://president.jp/articles/-/8114》)で長野県看護大、岐阜県立看護大の名を聞いた。取材先で出合った医療系志望の高校生は、専門学校から大学まで、具体的な校名を挙げる傾向があり、県境を越え、遠くの地にある学校のことも調べている。
ただ、ひとつ気になることがある。石川さんのように具体的に進路を考えている高校生は、少数派なのではないかということだ。「TOMODACHI~」に参加した被災地の高校生に会いに行くと決めた時点から、このことは気になっていた。
「TOMODACHI~」に応募し、3週間の合州国を体験する。帰国後、こうして取材を受ける。自分でそう判断した高校生たちに会うことは、ある種の”偏り”を持つ。取材先で複数回「学校では浮いてるかも」「クラスで話が合わない」ということばに出合うと、この取材が”偏り”の中で行われていることを自覚する。皆さん、学校では、友だちと進路の話をしているんですか。