「国際センターとか、もう大好きです」

「最近の多賀城名物です」と高校生から教えてもらったおやつ「多賀城バナナ」。

「いろんなところで子どもに関わる仕事をしたいので、青年海外協力隊に参加したいって思ってます」と語った太田佳奈さん(聖ウルスラ学院英智高等学校2年生)。その仕事に就くためには、どんな能力が必要だと思いますか。

「第一に、コミュニケーション能力だと思います。ぜんぜん違う環境で育ってきた人とコミュニケーションを取ったりとか。わたし、国際センターでボランティアをしていたんですけど、そこにはネパールやモンゴル出身の東北大や東北学院大の留学生とか来てるし、マレーシアやブラジルからも、いっぱい。そこで話していると『わたしの国、ふつうに小学校から英語を勉強するよ』とか言われて『もう、ぜんぜん違うなぁ』と思います。仙台の街を一緒に歩いていても、見ているところも全然違う。違うことは面白いなと思います」

「国際センター」とは、1990(平成2)年に仙台市内に設立された、財団法人仙台国際交流協会の本拠地のこと。仙台に暮らす留学生たちの支援施設だ。太田さんがここに関わるようになったきっかけは、旧ソ連のベラルーシ共和国に行ったことからだという。

「去年の夏に10日間行きました。仙台市内に住む高校生か、仙台市の高校に通う高校生が行ける仙台国際姉妹都市の交流事業で。締め切り3日前に学校のほかのクラスの掲示板で見つけて『こんなきれいな都市を見に行かなきゃ、なんか損だ!』って(笑)。このツアーでお世話になったのが、仙台国際センターだったんです。仙台の高校に来て、なんとなく高校生活も終わるんだろうなって思っていた自分には、国際センターは衝撃でした。いろんな国の人が家族と一緒に歩いてたり、話してたり。仙台に、直接海外とつながれる場所があるって、知らなかった。『国際センター祭り』っていうイベントで、写真撮影をするボランティアをしました。カメラを向けるとみんな笑顔。ほんと、楽しいボランティアでした」

さきほど太田さんは「違うことは面白い」と言いました。自分と人が違うことが、大変だったり、面倒くさかったり、しんどかったりはしないんですか?

「しないです。話聞くだけで面白いです。違う人たちの中に入っていても、何もしんどくないです。だから、国際センターとか、もう大好きです。え? 思わないですか、面白いって? だから、学校で浮くんですかね(笑)。『何で佳奈ちゃんは、そんなにいろんな国に行きたがるの?』って言われるんですよ。ああ、だからか……。気づきませんでした(笑)」

さて太田さん、高校卒業後はどうしますか。仙台を出ますか。仙台は他の被災地に比べれば、六大学野球リーグ(東北大、宮城教育大、東北福祉大、東北学院大、東北工業大、仙台大)ができるほど大学がありますし、宮城学院女子大、仙台白百合女子大もありますが。

「わたし的には物足りないなぁ、みたいに思っちゃうんですよ」

太田さんは取材時にはそう言っていた。年が明けてから「その後、行ってみたい大学ができましたか」とメールを送ってみた。

「(この連載)記事を読んでると、みんなハッキリしているなって思うんですけど、うちの学校は『行けるとこでいいやー』ってところがあって、悩んでる自分がおかしいって見られるんですよ。でも、『TOMODACHI~』の側に行くと、『悩みなよ! 相談なら乗るからさ!』ってかんじで、意識に差がある。上京もしたいんですが、留学もしたいので、現在の時点では、地元の大学行って、バイトしてお金ためよう!というかんじです。仙台は国際センターもあるし、姉妹都市交流事業が盛んという点もありますし。ただ、女子校だけはもう勘弁なので、それ以外で(笑)」

メールには、青年海外協力隊をはじめとする太田さんの「やりたいリスト」も添付されていた。おや、と思ったのは、その末尾に「言いそびれてしまいましたが、実は、前からアメリカでテレビの仕事とか映画関係とか、興味があるんですけど」と書いてあったことだ。そういえば、取材時に3人の高校生が海外ドラマの話で盛り上がっていたことを思い出す。

次に登場するのは、その映像の世界で仕事をしてみたいと考え、いや、すでに第一歩を踏み出した高校生だ。