noteに書かれた、元夫とのニューヨーク生活

2年前の移住直後には、「現在、ニューヨークは金曜日の夕方である。夫が、夕飯の支度をしてくれている」「毎週末ニューヨークを夫と探検するのが楽しみ」とnoteに書いていた。元夫が夕食づくりの当番だったのかもしれない。また、2023年元日の投稿では、次のように報告している。

2020年に結婚した夫のりょうちゃんは、私の留学が決まった数日後に16年勤めた会社を辞め、現在は主夫をしながら私を支えてくれている。彼の料理の腕は上がる一方で、毎日おいしいご飯をつくって私の帰りを待ってくれている。そんな彼は最近ニューヨークでも大好きな麻雀をする仲間をちゃんと見つけて楽しんでいる。

ただし、小林氏のnoteには、これ以降、元夫についての近況はほとんど見られない。2023年の夏に日本に一時帰国したらしいとは伝わってくるものの、離婚報告で推測していた「彼の気持ちもいろいろ変わった部分もあったようだ」の根拠となるような痕跡は、まったくない。

ニューヨークの都市の風景
写真=iStock.com/TomasSereda
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小林氏は、みるみるうちに人脈を広げ、英語力を上げている、とnoteに書く。そのかたわらで、元夫は、何をして、どんな「変わった部分もあった」のだろうか。こうした言葉づかいの端々から上から目線が滲み出ている。

「上昇婚」を望む日本人女性

乱暴に言えば、夫は刺身のツマ、というか、自分の人生に彩を添える脇役であり、さらには夕ご飯を作ってくれる家政婦と見ているのではないか。

私自身、自宅で家族の夕ご飯を用意しているから、被害妄想を膨らませているだけなのかもしれない。けれども、小林氏が2回離婚をし、そのいずれについても、多くの関心を集めている背景には、個人の感想では済まない、日本社会全体に通じる何かがあるのではないか。

そのひとつは、社会学者の赤川学氏がつとに指摘してきた「上昇婚」である。赤川氏は「現代ビジネス」の記事で「女性が自分より社会的地位の高い男性と結婚することを女性上昇婚」と呼び、かつての日本社会では、これが一般的だったと解説している。これに対して、「女性が自分よりも学歴や収入など社会的地位の低い男性と結婚する傾向」を「格差婚」とりわけ、「女性下降婚」という。赤川氏の示すデータによると、日本は、この「下降婚」が少ないため、「上昇婚」を望む人が多いと考えられる。

他方で、社会学者の三輪哲氏によれば、日本での「階層同類婚」、つまり、学歴と職業、それぞれが同じぐらいの人と結婚する率は減っている。女性は、自分より社会的地位が低いだけではなく、同じだとしても結婚しなくなっている。裏を返せば、「上昇婚」でないかぎりは、結婚そのものに踏み出していないのではないか。この傾向に照らすと、小林氏のケースは、どう考えれば良いのか。