「マイホームは一生に一度の買い物」という考え方を捨てる
新築マンション1億円時代を迎えて、本書で伝えたいのは、サラリーマンにとってマイホームの買い方がこれから激変するということだ。
「マイホームは一生に一度の買い物」という世間常識は時代と合わなくなり、大きな誤りとなった。
日本の災害リスクは非常に高く、35年ローンで半世紀も同じ家に住んでいたら、東京においても、首都直下地震、房総沖地震、南海トラフ地震、富士山噴火のリスクをすべて引き受けることになる。それは愚劣極まりない投資戦術だ。本書で推奨するマンションの所有期間は、10~15年。
所有期間の目途を10~15年とするのは、地震など大災害も「10年ひと昔」で忘れてしまうといわれるためだ。
本書の「はじめに」でも述べたように、2011年の東日本大震災によって津波の怖さから神奈川県藤沢市の臨海部など湘南の住宅地の価格が下がり、液状化の被害が大きかった千葉県浦安市も「地震前の相場で買う人は誰もいない」といわれたものだ。しかし震災後、金融緩和の効果もあって、10年ほどで相場は元に戻った。
バブルと災害は何度も繰り返して、忘れないうちにやってくるが、打撃は元に戻る。
住宅は住宅ローンを使っても使わなくても、金融商品としてとらえることが出発点だ。
それなら、「マイホームは一生もの」「一生に一度の買い物」という先入観は一度捨ててみたほうがいい。
時限立法、景気対策、自民党税制調査会、政府税制調査会などの動きを見れば、住宅関連の税制はくるくる変わる。
住宅は人生で2~3回買うのがいい
とはいえ、住宅ローン減税の期間は10年が基本で、大規模修繕は築15年が基本だ。
だから、10年から15年で売らなければならない。
住宅(マンション)は10~15年で買い換え、人生で2~3回買うのがいい。
できれば安値期に購入し、高値期に売り、売却益を確定したうえで賃貸に住む。
相場が下がったところで再取得する。
こうしたサイクルを2度、3度繰り返すのだ。
「それは面倒」と感じる人もいるだろうが、とりあえず、5~10年後は売り時でない場合も考慮しつつ、そうした「10年住み替えプラン」にだけは乗ってほしい。