高い血糖値は血管を傷つけ、心臓病や腎不全を引き起こす

血糖値が正常より高い方は、正常の方よりも糖尿病を発症するリスクが6〜20倍高いと言われています。糖尿病を治療する最終目的は、血糖値のコントロールではありません。目的はその先にあります。高い血糖値は、血管を傷つけ、心臓病や腎不全などを引き起こす可能性があります。つまりは、糖尿病かどうかよりも、血糖値が高い状態にあることを気にかけることが大切なのです。ぜひこの段階から、食生活の見直しや、日々の生活に運動を意識して取り入れていただきたいと思います。

健康的な食事の材料
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昨今では、糖尿病リスク予測ツールなども作成され、Webで簡単に糖尿病リスクを知ることができます(例:国立国際医療研究センター「糖尿病リスク予測ツール 第3版」)。健診などの血液検査結果を合わせられるとより良いですが、年齢、身長、体重、血圧など簡単な項目で、リスクを予測することができます。ご自身の生活習慣の見直しに、試されてみると良いと思います。

高血糖を放置すると失明や透析が必要になる場合も

また、2019年の調査では、まだまだ働き盛りの年代に糖尿病が強く疑われる状況にある方が多いことが分かっています。「糖尿病が強く疑われる者」の割合は、男性は40~49歳:6.1%、50〜59歳:17.8%、60〜69歳:25.3%、女性は40~49歳:2.8%、50〜59歳:5.9%、60〜69歳:10.7%という結果が出ているのです(厚生労働省「令和元年国民健康・栄養調査報告」2020年12月)。

糖尿病は管理することが肝要で、しっかりと管理されていれば日常生活を支障なく送ることができます。しかし、管理ができずに高血糖を放置すると重篤な合併症につながることがあります。たとえば糖尿病性網膜症により失明する、糖尿病性腎症により透析が必要となるなど仕事にも生活にも支障をきたすことになります。糖尿病と診断された方は、まずは主治医の指示に従ってしっかりと自己管理をお願いします。