メインは貯金、保険とNISAはサブでいい
学資保険のほか、最近は新NISAで教育資金作りを促す向きもあります。いずれも教育費づくりの手段のひとつといえますが、利用する場合はいずれもサブ手段にとどめたほうが良い、というのが現在の結論です。
それはなぜか。今回は、その「3つの理由」を詳しくお伝えします。
理由1 学資保険は長期固定型金融商品。金利上昇で劣化のおそれがあるから
学資保険は満期まで適用される予定利率が変わらない、いわば固定金利型金融商品です。満期に受け取れる金額が決まっている、安全確実な金融商品といえます。
ただし、生命保険の予定利率は現在、一時払保険を除きこれ以上ない低水準にあります。この先金利が上がるとみるならば、現在の予定利率が固定されることは、より有利にお金を増やすうえで不利に働くおそれがあります。
まず、学資保険の概要について確認しておきましょう。
学資保険は、子どもや孫が被保険者、親や祖父母が契約者となり、子どもの進学時などに祝金や満期返戻金、あるいは学資年金を受け取れる貯蓄型保険です。貯蓄機能とならび、契約者が死亡した場合に保険料払込免除を受けられたり、保険料払込免除されたあとに祝金や満期金が受け取れたりする保障機能が付加されています。
学資保険とは何か
他方、保険期間中に被保険者である子どもや孫が死亡した場合には、死亡時点の責任準備金相当額の死亡給付金等が支払われて保険契約は終了します。つまり、契約者・被保険者がいずれも保障される一種の連生保険で、加入にあたり被保険者・契約者ともに告知義務があります。
保障付きなので、支払う保険料には保障コストが含まれています。学資保険によっては、契約者が死亡すると満期金とは別に、保険期間満了まで育英年金が支払われるものも。ただし保障が手厚いほど保障コストも重くなり、貯蓄性が低くなります。
おおむね就学前後までの子どもが加入でき、17歳~22歳の間で満期時期を選択できます。また、10歳など教育費負担がかさまないうちに保険料払込を終わらせるタイプの保険もあります。
おおむねどの商品にも共通して言えるのは、条件が同じであれば、子どもの加入時年齢が高いほど保険料は高くなり、返戻率が低下します。また、10歳までなど前倒しで保険料の支払いを終えると返戻率が上がります。
図表3は、35歳の父親が、0歳の男児に総額300万円を受け取れる学資保険に加入したときの契約例です。保険会社や商品で受取年齢や受け取り方、返戻率も異なりますが、保険料はいずれも月額1万4千円台です。
たとえば、ソニー生命の学資保険は、返戻率102.3%と元本割れはしませんが、年利でみれば0.27%程度。17年間にわたりこの利率が維持されることをどう考えるか。そこが加入を検討する際の判断の分かれ目でしょう。もし今後、市場金利が上昇して、より有利な商品に乗り換えたいとしても、解約すれば元本割れのおそれがあります。加入後は満期まで続けることが前提です。