ゆとり世代を動かす最大のテーマとは

しかし、ゆとり世代にはこれから職場の中心となってもらわなければ困ります。ガツガツはしていなくても、仕事のできる優秀な人もたくさんいます。どう話せば彼らのモチベーションに火をつけることができるのでしょうか。

ゆとり世代を突き動かすテーマは“共感”です。

「このプロジェクトは君に任せよう。思う存分、やってみたらいい」
「責任は重大だが、これに成功すれば昇進や昇給で有利になるぞ。私からも強く推してあげるから」

などと言われても、ゆとり世代はまったく嬉しくありません。むしろ《なんで自分がそんな重たい仕事を背負わされなきゃならないんだよ》と、迷惑がるでしょう。

けれども、次のような大義を前面に示した言い方をしてみると、まったく違った反応になるはずです。

「このプロジェクトは、会社はもちろん、取引先にも顧客にもメリットがある。成功すれば皆を笑顔にできるんだ。あなたが引き受けくれたら、私も大いに助かるんだ。困ったことがあったらいつでも相談に乗る。どうだ、みんなで一緒にやってみようじゃないか」

ポイントは、「この仕事が顧客を喜ばせ社会を良くしていくんだ」という共感を呼ぶことです。コンプラ意識の強いゆとり世代は、共感によってやる気を持って仕事に取り組みます。

ゆとり世代は大学全入時代を過ごしています。人によっては競争を避け、人生で一度もファイティングポーズを取ることなく社会人になっています。そのため、競争を前にするとどうしても尻込みしてしまいます。けれども、ビジネスが競争の世界であることは変えようのない事実ですから、慣れて勝つ喜びを覚えてもらうしかありません。マイルストーンを区切って小さな成功体験を重ね、達成の喜びを全員で共有できるようにすると効果的です。

「君がリーダー」ではゆとり世代は動かない

「5人のチームでやってほしい」「2人でリーダーになって、このプロジェクトを進めていってください」などと、責任を一人に背負わせない配慮もあっていいでしょう。ゆとり世代にとって、責任はやりがいを感じるものではなく、面倒なものでしかありません。

逆に「部下にまかせた以上はあれこれうるさく口出ししない」といった配慮はいりません。納期、手段、手順、役割分担、チェックポイントなど、なるべく詳細かつ丁寧に伝えましょう。

バブル世代が若手の頃に上司にあれこれ言われるのは「なんだ、まかせたと言ったくせにいちいちうるさいな」「信用していないのか」と苦痛だったかもしれませんが、ゆとり世代は自らの判断で動くのが苦手なのです。

ゆとり世代とそれより上の世代では、常識や価値観が大きく異なります。「会議の資料をコピーしておいて」というような指示をすれば、人数分、ホチキス留めをして、会議までに参加者が座る席に配っておくとバブル世代は考えるかもしれません。しかし、ゆとり世代の場合、データで共有すれば問題ないと考えるため、指示を出した上司のぶんだけ印刷することもありえます。「15分以内に、5人分、片面で印刷して、机の上に配っておいて」などというように、細かく指示を出しましょう。

【図表】ゆとり世代には「丁寧すぎる」くらいに話す!