「怒り」をぶつけるだけでは恨まれるだけ

①虎の威を借りない
「社長がこういうのは駄目だと言ってるだろ?」
「私でよかったな、部長が知ったら大変だったぞ」

②性格や能力に言及しない
「きみの性格が暗いから、こうなったんだよ」
「どこの大学を出たんだ? こりゃ中学生レベルだ」

③過去の失敗を持ち出す
「あの時の失敗もそうだったよな、どういうことだ」
「何回、オレの顔に泥を塗れば気がすむんだよ」

①は無責任な上司です。上司としてのプライドもメンツもあったものではありません。
②は、部下の人格を踏みにじっているだけです。
③は、卑怯なエンドレス攻撃です。ネチネチと部下をいたぶるのが習性のようです。

こんな事例は、タチの悪い上司が部下に「怒り」をぶつけているだけで、ミスや失敗を指摘される部下のほうも、内心では上司への恨みを蓄積するだけでしょう。

叱る目的は、部下の行動を改善させ、その成長を督励することでなければいけません。

自分の行動に自信がなければ他人を叱れない

正攻法で部下を叱るには、上司も確たる信念をもって、仕事に取り組んでいなければなりません。口先だけ偉そうに、上から目線で部下を叱責しても、部下が内心で「お前だって、いつも怠慢だろうが……」などと思われていたら、意味がないからです。

上司として、自らも「規範」を守り、日常的に、正々堂々と前向きに仕事に取り組んでいなければならないのです。

叱る人の責任ある行動があるからこそ、部下を叱ることもできるのです。

トーチを持ったビジネスマンが、彼の後ろに別のビジネスマンを率いる
写真=iStock.com/rudall30
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