人々に訴えかける「見せる」動画
では、その内容を見てみよう。まず注目されるのが、動画である。「信任状捧呈式」「皇居」「宮殿」「園遊会」などの動画は、映像はスピード感ある形で編集され、やはり動きがある音楽がバックに流されるため、動画全体が躍動感にあふれている(園遊会の音楽は雅楽であるが、やはりその映像はスピード感がある)。映像も美しい。これまでも、皇室に関する動画は作成され、政府インターネットテレビやDVDなどでその映像を見ることはできた。しかし、その動画はどこか権威的で格調が高かった。もちろん、今回の動画もそうした格調の高さは残しつつ、人々に訴えかける「見せる」ものになっている。
さらに、たとえば「信任状捧呈式」の動画では、普段は私たちが見ることができない場所(車馬課)の様子が映像として流される。「園遊会」の動画では、その場で提供される軽食などが映し出されている。この動画によって、今までに知り得なかった情報を私たちは知ることができるのである。
宮内庁HPとインスタグラムの構図の違い
写真も特徴がある。2月13日の「厚生労働大臣表彰の障害者自立更生者等及びその配偶者の拝謁」に関する写真を例にとって見てみよう。天皇・皇后がそうした人たちと会っている写真は宮内庁HPにもインスタグラムにも掲載されている。ところが、宮内庁HPに掲載されている写真よりもインスタグラムに掲載されているそれの方が天皇・皇后とそうした人たちとの距離が近く、よりアップで撮影された写真である。
肖像権の関係で、同じ人物の写真が使用されているものと思われるが、インスタグラムの方が身近で、親近感を与える構図となっている。そうした写真が随所に掲載されているのが宮内庁のインスタグラムなのである。