荻原健司(スキー・ノルディック複合五輪金メダリスト)
元気の塊みたいな人である。萩原健司さんはからだ全体からエネルギーを発散させている。ポジティブ思考。将来に不安を抱える学生を前にすると、こうハッパをかける。
「不安があるのは当たり前。何もしないのが一番悪い。とにかく、いろんなことにチャレンジして、自分で道を切り開いていかない限り、不安はとり除けない。自分の将来も明るくならないでしょ」
師走某日。早稲田大学の大隈講堂で開かれた「アスリートフォーラム」だった。テーマが「オリンピック・パラリンピックの魅力」。荻原さんはボランティアで応援に駆け付けた。日本オリンピック委員会(JOC)の「オリンピックふれあいアンバサダー」として、五輪運動の旗振り役も果たしている。
もちろん、東京の2020年オリンピック・パラリンピック招致を応援している。何事もチャレンジ。スポーツの力、オリンピックの力を信じている。「ニッポン復活」にかける思いがアツい。
「今は情報化社会です。いろんな情報が入ってきて、今の若い子は我々の時より、悩みの要素が多いかもしれない。でも、まずやってみる。考えるより、まずやってみる。結果が出て、よかったのか、悪かったのか。その繰り返しじゃないですか」
スキー・ノルディック複合で1992年アルベールビル、94年リレハンメル両五輪で金メダルを獲得した。双子の次晴もノルディック複合の元選手。「キング・オブ・スキー」の異名をとった。
政治家として、かつての安倍改造内閣で経済産業大臣政務官も務めた。早大OBの42歳。振り返れば、自身の半生もチャレンジの連続だった。
「将来に不安を感じて、黙っていてもダメなんです。頭で考えるより、まずやってみる。スポーツだって、勉強だって、どんな分野でも一緒だと思う。とにかく、飛び込むんです」
自信に満ちた振る舞いゆえか、場の雰囲気も明るくなる。気さくさは変わらない。記念撮影を頼まれれば、2020年東京招致の旗の前で気軽にカメラに収まるのだった。