企業と個人への補助金の規模の違い
物価上昇率が前年比3%超えで、歴史的に高い数字になっているといわれますけど、アメリカや欧州はそれよりも程度高い。エネルギー価格に限定すれば40%超えの水準ですから、そういう意味では日本は物価のコントロールに関しては比較的うまくやっているのではないでしょうか。
もちろん、「税金をつぎ込んだ(補助金を出した)から」ですが、そうでなければ今ごろパンにしてもパスタにしても、物凄く値上がりしているはずなのです。賃上げはいまでも後手感がありますが、政府が出す補助金の“規模感”を許容できるのかどうかということが問われます。
原油高によるガソリン価格の高騰を抑制するために導入している「燃料油価格抑制制度(激変緩和措置)」で、石油元売り会社(石油を輸入している大企業各社)に支給されている補助金は1カ月当たり3000億円です。すでに投入された税金は、なんと6兆円を超えています。
他方、児童手当の所得制限を撤廃するのにかかるお金は、年間で1500億円(1カ月ではなく年間です!)という話ですから、毎月それ以上の金額が企業に投入されています。
もちろんその見返りとして、選挙のときに票も投じてくれるし、献金もしてくれるし、当然、天下りも受け入れてくれるのでしょう。国にしてみたら、個人にお金を配ったところでこうしたメリットはありませんから。
ケタが大きすぎて思考停止に陥っている
政治の問題でいつも思うのは、ケタが大きくなりすぎると、多くの人たちはワケがわからなくなって思考停止になりがちなこと。
似たものをいくつか比較してみるとわかりやすいと思います。たとえば、児童手当は年間総額1.3兆円です。国立大学80校超に出している運営費交付金がだいたい1兆円くらい。それから防衛費が約7兆円で、これが今後倍増となる。
みなさん納得できるでしょうか? 庶民がないがしろにされ、「日本はなぜ暴動が起きないんだ?」という人もいますよね。政策の知識不足と諦めを心配しています。