コストが安く、自分の判断“だけ”で選べる

第二の理由は、手数料などのコストが安いこと。オンライン専業なので運営経費が抑えられますから、店舗のある銀行や証券会社に比べて全般的に安くなっています。特に今後、株式投資を予定しているなら、売買手数料の安さは見落とせません。売却した場合の収益は、手数料が安いほど手取りが多くなるからです。

つみたて投資枠に用意されている投資信託についてはもともと、金融庁が「手数料が低水準、頻繁に分配金が支払われないなど、長期の積立・分散投資に適した一定の投資信託」として限定したもので(2月末現在282本)、コストの安いことが前提になっています。

ここで言うコストとは手数料関係、特に投資信託を保有している間にかかる「運用管理費用(=信託報酬)」を指しますが、金融庁が定めた水準よりかなり安いものから、上限近いものもあります。前述のように銀行は品揃えが少ないですから、より運用管理費用の安いものを選びたくても選択肢がないことが、コストアップの要因にもなり得ます。

ネット証券がオススメの第三の理由は、自分の判断のみで選べること。これはとても大切なポイントです。

「自分で選べないから窓口で相談するのでは?」と思った方は、アドバイスを聞いても即決しないようにしましょう。聞いた内容が本当に理解できて、勧められた投資信託が納得できる内容か、よく吟味してからはじめることです。もし説明された内容に少しでもわからない言葉や、はじめて聞くのでよく飲み込めていない知識があれば、わかったふりをするのは絶対にNG。

たとえば、高額な家電を購入する場合を考えてみましょう。お店の人に勧められるがまま即決するでしょうか。必要なスペックがあるかや不要なスペックまでついてないかをチェックしたり、違うメーカーの商品とコスパを比較したりするでしょう。説明がよくわからなければ、どういう意味か確認もしますよね。

投資信託も同じです。何といってもわが家の大切なお金を託すのですから、高額商品を買う以上に目配りすべきです。窓口の担当者は親身にアドバイスしてくれると思いますが、あなたのお金を一番真剣に守れるのはあなた自身であることを忘れないようにしましょう。

今の空気はバブル崩壊前に似ている

実は私もかつて証券会社の窓口で、投資信託などの金融商品を販売していました。年がバレますが、バブルのピークに向かう途中の頃です。勧めた商品はどんどん値上がりして顧客に喜んでもらえるし、やりがいを感じていたのを覚えています。

新NISAで盛り上がる昨今、その頃の空気に似たものを感じています。折しも株式市場が過去の高値を更新し、まだまだ上がるものと期待する人が多いでしょう。バブル崩壊の実体験がない若い世代は特に、暴落もあり得るイメージを持てないでいるようです。

1万円札と為替レート表
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