子育てにも採用面接にも応用できるテクニック
しかしママとパパは、選択肢を決めることで、最終的な決断に影響を与えている。小さなリザは、めでたくママとパパが食べてほしいと思うものを食べた。ただ食べる順番を自分で選んだだけだ。
子供を病院に連れていって注射をしてもらわなければならないときは、「右腕にしてもらう? それとも左腕がいい?」と尋ねる。子供に寝る準備をさせたいときは、「先にお風呂に入ってから歯を磨く? それとも先に歯磨きをしてからお風呂にする?」と尋ねる。
この「誘導型の選択」と呼ばれるテクニックを使えば、子供にある程度の選択の自由を与えながら、親は望みの結果を手に入れることができる。
これは親だけでなく、採用面接を担当する上司も使えるテクニックだ。求職者は、条件の交渉をするのは当然だと思っている。だからどんなにいい条件を提示されても、必ずそれ以上の条件を望む。
そこで賢い上司なら、求職者に交換条件を提示する。休暇を1週間増やしたいのなら、年俸を5000ドル安くする。年俸を1万ドル増やすなら、持ち株をその分だけ減らす。
これで求職者は、自分にとって重要なものを自分で選ぶことができる。その結果、条件を決める過程に積極的に参加した気分になれるのだ。おそらく「交渉したい」という欲求も満たされることになるだろう。
ここで大切なのは、求職者がどちらを選んでも、上司にとっては望み通りの結果になるということだ。上司も求職者も交渉に満足できる。
これが「メニューを提供する」というテクニックだ。何でも自由に選ばせるのではなく、こちらが決めた選択肢の中から自由に選んでもらう。
「自分の意志で選択した」という気分が大切
人に何かをさせようとすると、相手は必死になって抵抗する。それが悪いアイデアである理由を並べ立て、他のことをしたほうがずっといいと力説する。とにかく、相手の提案にそのまま従いたくない。
しかし、ここで複数の選択肢を提示すると、状況は一変する。
提案されたことの問題をあげつらうのをやめ、どの選択肢がいいか考えるようになるのだ。あら探しよりも、自分にとってベストの選択肢を探すことに夢中になる。さらに自分で選ぶことで「意思決定の過程に参加した」という気分になれるので、最終的にどれかを選んで契約が成立する可能性が高くなる。