一見平穏に見える日常生活の中には多くの危険が潜んでいる。それを明確に示す統計データがある。例えば、認知症疑いのある高齢ドライバーは5万人以上いると報告されている。また、過去20年間で虐待死した日齢0日児176人のうち医療機関で生まれたケースはゼロで、母親たちは自宅トイレや風呂場などで孤立出産した。社会に横たわる問題をわかりやすく伝えることを目指しているチャリツモが世の中の不都合な数字を紹介する――。

※本稿は、チャリツモ『大人も子どもも知らない不都合な数字』(フォレスト出版)の一部を再編集したものです。

日本人の2.2%がギャンブル依存症!?

2021年度に成人8223人を対象に行った調査で、2.2%の人がギャンブル依存症の疑いがあることがわかりました。男性は3.7%、女性は0.7%と、男性の割合が高いこともわかっています。

ギャンブル依存症とは、「ギャンブル(結果が偶然に左右されるゲームや競技等に対して、金銭を賭ける行為)にのめり込むことにより日常生活又は社会生活に支障が生じている状態」のこと。

ギャンブル依存症は、ギャンブル依存に留とどまらず、それに関連した多重債務や貧困、虐待、自殺、犯罪などさまざまな社会問題と密接に関わります。

なかでも多いのは「パチンコ・パチスロ」に依存する人。依存症の疑いがある人の7割以上の人が、過去1年で最もお金を使ったのは「パチンコ・パチスロ」だと答えています。

海外に目を向けると、生涯のうちにギャンブル依存症にかかる割合は、オランダが1.9%(2006年)、フランスが1.2%(2011年)、スイスが1.1%(2008年)。他国と比べても日本のギャンブル依存症の割合は高いといえそうです。

また、近年ではスマホゲームの「ガチャ」への高額課金が問題になっています。射幸心をあおるガチャは、パチンコなどのギャンブルと同様に依存性が高く、ハマると危険です。ガチャを回す際、脳内でドーパミンが放出される快感が中毒になって課金を繰り返した結果、何百万円もの負債を抱えて破産する例が増えています。

ギャンブル依存の割合が高い日本人は、スマホアプリの課金額でもダントツの世界一。課金の多くはガチャなどギャンブル性の高いものに使われていると考えられます。

ギャンブル依存症は、1970年代後半にWHO(世界保健機関)において、「病的賭博」という名称で正式に病気として認められました。ギャンブルをやりたい気持ちをコントロールできずに生活に支障が出るほどハマってしまったら、それはもうギャンブル依存症にかかっている可能性が高く、自分ひとりでは解決できません。そうなったら、早期に専門家のもとで治療に取りかかったほうがいいでしょう。