精神科医になりたい理由
益山公壽(ますやま・こうき)さんは、原町高校1年3組。同高のクラスは文系、理系、選抜の3種に分かれる。益山さんと朝倉さんのいる3組は、国公立をターゲットとする選抜クラスだ。益山さんのお父さんは団体職員、お母さんは会社員。自宅の震災被害は幸いなことに「全然やられてないです」。さて、益山さん自身は将来何屋さんになりたいですか。
「ぼくも朝倉君と一緒で医者です。精神科医になりたいです。落ち込んでる人とか、鬱になっちゃってる人たちを、前向きな考えにさせてあげたいと思って。心のサポートをしたいと思って」
「小学校6年生のときからお世話になってる勤務医の先生がいるんです。その人がぼくにはちょっと憧れになっていて。その先生みたいになっていきたいなと思いました。先生は小児科なんですけど、内科とか小児科にはなりたい人は結構いるかなと思って。それに精神科は、あまり原町では聞いたことがないので、自分も精神科医として地元で開業してみたいなと思いました」
精神科医になるためには、どんな学校に行けばいいのか。具体的に考えている学校名はありますか。
「福島県立医科大学です。福島市にあります。かなり難しいです。いまの自分だと全然ダメなんで、学力的に」
県立医科大は福島駅から車で30分ほど離れた場所にある。1947(昭和22)年創設。東北では他に青森と山形に県立の医療系大学があるが、いずれも医学部はない。同じ福島市にある国立の福島大学にも医学部はない。『2013年度用大学受験案内』(学研)内を見ると、福島県立医科大の2012年度入試ランク偏差値は65。ちなみに東北大学医学部は70だ。そういえば、さっき朝倉さんが、第一志望は東北大学、駄目だったら福島県立医科大って言ってたけど、隣で聞いていてムカつかなかった?
「しないです、全然してないです(笑)」
おっとりと話す益山さん。だが、インタビューを続けていくうちに、こちらは益山さんの短いひとことにたじろぐことになる。
(次回に続く)