お菓子は月に数回しか食べられない
祝日が近づくと、受刑者たちはそわそわする。
通常の給食とは別に予算があり、どこの施設でも「祝日菜」といってお菓子が配られるからだ。
彼らにとって、お菓子は月に数回しか食べられないため、特別な嗜好品的な存在だ。そのお菓子を選ぶのも、食料担当のS山刑務官と私。しかしながらその予算は1人分たったの税込み60円(令和5年度から68円)。
なんと昭和の時代から変わらず、3パーセントの消費税が導入されても変わらず、消費税が上がってからも変わらないという伝統を守り継いでいる。
おかげでやり繰りは年々大変だ。60円なんて今どき、子ども用の小袋菓子しか買えない(涙)。よって、給食費の懐事情は厳しい。
予算は1人1日あたり「約520円」
地域や規模によるが、通常の食事は1人1日あたり約520円の予算だ。内訳は当所の場合、副食が1人あたり423円でここ10年ほどほとんど変わっていない。
それに主食が1人あたり平均すると100円程度。これは前述しているが、大事なことだから2回書く。1人1日あたり約520円だ。1食あたり520円ではない!
なぜわざわざ2回書くのかというと、以前刑務所給食に関する掲示板サイトで「1日520円」と書いてあるのに、一部の「1食520円」と読み違えた人たちが「贅沢しすぎ!」とか「俺より金かけてる!」なんてコメントしたがために、1食520円がひとり歩きしているのを見て残念に思ったことがあるからだ。
通常の食事のほかに、正月用や行事用の予算は別にあるが、年間に片手くらいの回数で終わってしまう程度だ。
その懐事情は収容人員が多い刑務所ほど余裕がある。1000人いる刑務所と、100人程度の刑務所とでは扱う金額が異なるのはもちろん、大手であれば入札に参加する業者数が増えて、その分食材も安価に購入できる。