盗み飲みされることがある

アルコールを含む調味料「みりん」は、ここでは単に甘いお酒という認識だ。そのため盗み飲みされることがあるそうだ。

手指消毒用のアルコールでさえ、飲もうとする輩がいるため、施錠された場所に保管されている。

みりんを使ったレシピを刑務所用にアレンジする場合は、少量の砂糖で代用することにしている。もちろん、料理酒やワインなんてもってのほか。

危険物として扱われるものもダメ

あとは、食品以外に危険物として扱われるものだ。

例えば、串カツの串やつまようじなど、鋭利なものは危険物指定だ。他人を傷つける可能性もあるし、自傷行為に使われる可能性もある。そのため、基本的に「食べられないもの」は禁止される。

串カツ
写真=iStock.com/kaipong
串カツの串やつまようじなど、鋭利なものは危険物指定(※写真はイメージです)

ほかに、当たり付きの駄菓子も困る。もし当たりが出てしまったら対応に困ること必至だ。でも、出してみたい気持ちにも駆られる。

とにかく、食べられないものや余分なものは、極力塀の中には入れない。

スーパーのお惣菜コーナーにあるような業務用食材に、小売りパッケージ用のシールが入っていることがある。

「たこやき」とか「大学いも」とかイラスト入りのシールも炊場には入れないように言われている。

なぜかと聞くと、「遊ぶから」とのこと……。

初めて聞いたときは「大の大人がシールで遊ぶ?」と、驚いたが、今なら容易に想像できてしまう。娑婆感のあるシールは、彼らの生活に刺激を与えるものなのだ。

例えば、「肉」と書かれたシールがあったとしたら、間違いなくおでこに貼って「キン肉マン」ごっこをするだろう。

そんなことを想像すると、また笑ってしまうのだ。