――この時代でも、成果を挙げる人は愚直に努力を重ね、頑張れる人なのか?

むしろ、この時代だからこそではないでしょうか。中国人や韓国人は、日本の圧倒的な品質管理能力に劣等感さえ持っているというのが、私の正直な実感です。これは日本というブランドの大きなアドバンテージです。中国の富裕層が日本から輸入した野菜しか食べないというのは、海外の人がいかに日本の品質管理を信頼しているかの証拠。しかし成果を急いでそういう長所をないがしろにすると、せっかく築いたブランド力を失ってしまう。結局、愚直に精度の高い仕事を目指すことが、成果を出すコツなのです。

――赤字会社が成果を出せないのは、やはり近道を考えるから?

近道が原因で傾いて、何とか立て直そうとしているが、成果が出ないというケースも多い。ブランド力が落ちているというのも一因ですが、そういう企業の経営陣というのは一所懸命動いているのだけど結果につながらない。というのは経営計画書もなしに遮二無二、動き、ヤマカンや皮算用で行動しているからなのです。

成果を挙げるには成果を挙げるためのレシピを考え、それを忠実に実行する必要があるのに、場当たり的に動き回るだけ。これでは結果が出ないのは個人レベルでも同様です。まず結果から逆算して自分が今日、何をすべきかを論理的かつ合理的に思考できるかどうかが、成果を掴めるかどうかの分水嶺になるのです。

上昇:時代を変える人
停滞:時代に呑み込まれる人

今日でこそ、外資系企業を渡り歩く生き方は珍しくなくなりました。しかし終身雇用が当たり前の当時は、私のような生き方モデルは皆無。まさに手本がない状態でした。そんな私が着実にステップアップしていくことができたと思うのは、常に自分の1年後の姿をイメージしながら仕事をしてきたからです。

これは再三、部下への手紙にも書いたことですが、1年後の自分をイメージすることによって、今の自分には何が足りないのか、どういうスキルを持てばイメージ通りの自分になれるかがわかってきます。

ところがほとんどの人は、目先の仕事に追い回されているだけで、未来を見つめていません。しかしこの手本がない時代だからこそ、1年先、半年先の自分を明確にイメージしていないと時代の荒波に呑み込まれてしまいます。それほど、状況の変化が激しい時代なのです。