「非婚主義」の私の過去の恋愛
私の元カレたちは(私の基準では)ルックスもよくて(私の基準では)性格もよかった。私の基準でと補足したのは決して皮肉ではなく、それがこの話の肝だからだ。
私の基準なのは当然だ。私が選んだ人たちなのだから。当然、彼らも私を選んだから恋愛が成立したのだろうけど、本当に魅力的な人たちだった。彼らは彼らなりの方法で私を愛し、私も私のやり方で彼らを愛した。これまで、自暴自棄になるほどの別れを経験しなかったのは感謝すべきことだと思う。
もちろん、別れた直後には胸がひりつくほど痛み、大声で毒づきながら近所中を走り回りたい気分だったけれど、過ぎてしまえば希代のクズ男でもなかったし、いつだって悪い奴はあちこちにいるものだということにも気づいた。いずれにしても、彼らにとって私は一時的にはひどい女だったろうけど、永遠のクソ女ではなかったことを望むだけだ。
一緒にいると心が満たされた
Bに出会ったのは大学生のときだった。そのときまで私は彼氏を両親によく紹介していた。紹介したというよりも、彼氏をだしに高価な牛肉をおごってもらおうという魂胆で、深く考えもせず、本当に何度も彼氏を両親に会わせた。両親は娘の性格上、本人の「チョイス」をむやみに評価しては逆鱗に触れると判断したのか、ほとんどの彼氏を気に入ってくれた。Bもそんな一人だった。
今思えば、当時の私の理想のタイプをシミュレーションゲーム「ザ・シムズ」で作り出したみたいな人だった。私は彼にぞっこんだった。もちろん、別れたわけだから短所を挙げればいくらでもあるけれど、ほとんどの元カレがそうであるように、Bと一緒にいるとどんなに心が満たされてどんなに幸せだったか、今も鮮明に記憶している。何よりも彼のことが好きすぎて彼のすべてに夢中になっていたことを忘れられない。
横断歩道で信号が変わるのを待つ間、腕を組んで肩にもたれかかったときの匂い、腕をぎゅっとつかんだときの感触、困らせるとぐっと寄る眉間が特に愛らしかった。「俺、君が大好きだよ」と言うときの照れた顔、そして、その言葉を口にするときのどこかぎこちない抑揚みたいなものもよく覚えている。