個人を「コングロマリット化」することでリスクが減る

これまで私が資格を取ってきたのには、自分を「コングロマリット化」しようという意識があったからです。コングロマリットとは1つの企業が複数の事業を抱えていること。「複合企業」と呼ばれています。

要は、自分の会社に複数の事業を持っておけば時代の変化にも対応しやすくなるのです。

変化の多い現代では、その時々社会に必要とされる分野は変わります。

だからこそ企業はコングロマリット化し、自社が複数持っている事業の中で社会にアピールする分野を変えていき、時代に適応させていこうと考えるわけです。

何も企業に限った話ではなく、このことは個人にも当てはまります。

めまぐるしい時代の変化の中で、どんな状況になっても社会で自分の能力を発揮していくには「これは負けない」という分野をたくさん持つことなのです。

そして、時代に合わせて必要とされる得意分野を切り替えていけば、とりあえず「食うに困る」という状況はありません。

自分のいる会社、自分のいる業界、自分自身の5年先も見通しが明るくない……。

そういう方は以前にもまして増えているのではと思います。ですがお伝えしたように、20年前には私もバブル経済の崩壊、会社の業績悪化に直面し、焦りと不安を覚えました。

そして、その漠然とした不安を振り払ってくれたものの1つが資格でした。

教養と知識を分別しロスを減らせ

今社会に求められる人材は、会社の指示通りに動くサラリーマンではありません。

個人事業主のような自立した考え方、スキルを持ったビジネスマンなのです。

ですから、どうせ勉強をするのであれば自分の今持っている力を底上げしてくれるようなものがいいでしょう。自分の精通している分野をさらに深めるのも1つだと思いますし、間接的に関係してくる分野の知識を身につけるのもいいでしょう。

その意味で資格というのは到達点が見える分目標と期限が立てやすく、専門知識を深めるという意味でとても適しているものだと私は考えています。

もちろん本書の主題は「いかに時間を効率よく使うか」ですし、私自身「簿記を取れ」とか「司法試験を受けろ」とか言うつもりはまったくありません。

前述したように、これから勉強をはじめるという場合はとりあえず興味のある分野を勉強してみることをおすすめします。

そして、勉強の先に資格のようにかたちの見えるものがあるのなら、それをとりあえずの目標として勉強をしてみるといいでしょう。知識がすぐに身になることはなかなかありませんが、いつどんなところで役立つかわかりません。

ある分野に違った分野の考え方や知識を織り交ぜることで新たな化学反応が起こる可能性はあり得ます。

ただ、趣味の「教養」と、勉強して身につける「知識」の線引きをして、必ず目標と期限の設定を忘れないでください。

無意味に時間を使ってしまうことだけは避けましょう。