楽をして結果を出す方法は存在しない

本当はやる気もないのに、何となくだらだらと続けていくのはいいことではありません。

「結果を出さなくてもいい」というのであれば話は別ですが、そうではないはずです。

そんな中、モチベーションの低いまま続けてもコストと時間は減っていくばかりですし、それなら方向転換した方がいいでしょう。

「それでは困る」というのであれば、もっと意識を高く持ってください。

残念ながら、やる気や集中力はおまじないで高めることはできません。自分自身でコントロールしなければならないものなのです。

と、あえて突き放した言い方をしましたが、まずは「楽して結果を出そう」なんていう考えは捨てなければいけません。自分に合ったやり方というのはいくらでもあるでしょうが、努力をしないで結果を出す方法などありません。

可能なのは、結果を出すための労力と、そこにかける時間を必要最低限にすることです。

適切にポイントをおさえ、労力のかけ方を変えれば、結果が出るまでのスピードも変わります。

結果を出している人で、努力を怠っている人、ずるをしている人などいません。

いたとしても、それで結果を出し続けることは不可能です。自分や自分の目標にとって必要な努力を果たしているからこそ、彼らは結果を出しているのです。

ためらっている時間も惜しめ

アンソニー・レゲットという研究者をご存知でしょうか? 2003年にノーベル物理学賞を受賞したアメリカの大学教授です。あるとき日本で行われた彼の講演を聞きに行ったのですが、題目は「ノーベル賞への風変わりな道のり」というものでした。

どんなふうに変わっているかというと、レゲット教授はそもそも、物理学者ではなかったのです。物理学者に転向したのはオックスフォード大学で哲学やローマ史を学んだあと。

興味のおもむくままに勉強していった結果が、「超伝導体と超流動体研究」だったそうなのです。その講演でレゲット教授は、「ある分野で一流になるには、興味を持ったことをどんどん勉強していけばいい。その勉強は決してムダになることはない」と仰っていました。

私もレゲット教授の意見に賛成で、興味があるのならチャレンジすべきだと思います。

これまで私は外資系企業への就職からはじまり、USCPAの資格、アメリカの公認会計士事務所、司法試験、弁護士というキャリアを歩んできました。そして、弁護士をしている今も1年に1度くらいのペースで資格取得を目指し勉強をしています。

それは、ある仕事をしていたり勉強をしたりしていると、ふと「あ、自分にはこの分野の知識が足りていない」とか「この分野の知識をつけたら仕事も楽になるなぁ」とか、そういうことに出会う機会があったからです。

たとえば06年に取得した「公認内部監査人(CIA)」という資格があるのですが、これは08年4月から「金融商品取引法」という法律が改正され、上場企業の監査が強化されるだろうとわかっていたので、それなら今のうちに知識をつけておこうと勉強をしました。

さらにその勉強過程で「公認金融監査人(CFSA)」という、「公認内部監査人」よりも専門的な資格があることを知り、これも07年に取得することができました。

このように、ある得意分野を1つ自分の中に身につけると、あとは数珠つながりに得意分野が広がります。結果効率的に勉強することが可能になり、時間が圧縮されるのです。