「松本さんがレイプをした」と誤読されている
話は簡単で、松本さんにかかっている嫌疑の中身としては単なる有名人の合コンに過ぎず、これ単体が違法だとするならば世の中にあるすべてのギャラ飲みや合コン、ガールズバー、相席居酒屋などは適法とは言えない行為とされてしまいます。一般人が日常的に行っている合コンがいちいち本人同意だ、同意内容の明示だとやるはずもなく、社会通俗的に違法となるのは例えば異性に対し性的行為を強要し、明確な了承がないのに性行為に及ぼうとするケースのみです。
松本人志さんにブチ切れている人たちは、たいてい、松本さんが女性らに対し違法なレイプをしたと踏み込んで誤読していることになります。
未成年少年に対する性暴力を長年続けていたジャニー喜多川さんの件と決定的に異なるのは、松本人志さんは行為が認定されればただちに違法となるものではないという点です。後輩芸人との合コンですから。
また、大手ラウンジほか著名人が集まるVIPルームなどでは、一般人の来客は特に、ごく当然のようにスマートフォンなどはクロークで預けないといけません。場合によってはボディチェックまでされます。芸能人に限らず、政治家や学者、官僚が集まるサロンなどでも機密に関わる重要な話し合いがされる場ではスマホの持ち込みは禁じられることも多くありますし、紳士協定ベースで口外禁止のチャタムハウスルールが敷かれることがあります。情報漏洩が問題になりセンシティブになっているのは、SNSの利用が一般的になったり、週刊誌に問題のありそうなネタを持ち込まれたりして、著名人が一般人と付き合うリスクを考えたときには当然に行うことであることは理解しておく必要があります。
ナンパや合コンを「すべて違法」と言えるのか
たかが合コンで、というのはありますが、著名人と写真を撮りたがる一般人はもちろんいるでしょうし、そういう遊び方をしていること自体を知られたくない立場の人はたくさんいます。妻帯者とか、育てている子どもが年頃だとか、それでもどうしても遊びたかったとか、他の大事だけど面倒くさい宴席を断って銀座に来ちゃったとか。
パオロ・マッツァリーノさんの記事で決定的に間違っているのはこれらがすべて違法であるという前提で記述されていることであって、後輩が一般人女性をナンパし、合コンに連れてきて一定の合意の下で「お持ち帰り」をすることは犯罪行為とは言い切れません。
その合意内容について、消費者契約法的に「合意の有無でなく、合意の中身こそが重要」と判断することは、述べた通りあまり賛同できません。一般的に、普通に暮らしていて人々が出会ったり交際したりするときにいちいち合意内容を書面に落としたり中身(内容)の確認をすることなんてあり得ませんし、誘った側と誘われた側の「期待」の中身(内容)に差があって当然であるからです。「やれたかも委員会」のようなもので、やりたかったけどやらなかった男性と、あまり良くないかなと思ってやらずに帰った女性との間で「中身(内容)の合意があったからついていったのだ」なんて話は法的にも成立しないわけです。
合コンに行くのにいちいち書面にするんですかという話で。