「少々……」を安易に使っていないか

目標が大きければ大きいほど、巻き込むべき人の数は幾何級数的に増えていく。従業員1000人の会社のトップがマネジメントする時間は、自分が持っている24時間ではなく、2万4000時間である。マネジメントといっても、あれこれせよと、作業管理をするのではない。巻き込んだ人に対するリスペクトを前提に、彼・彼女がその時々の仕事で成果を出すと同時に、中長期的な成長をとげられるかという視点を持つことが求められる。大企業のトップでなくとも、マネジメントする立場に置かれている人なら、考え方は同じである。

「仕事においては常に、他の人へのお願いを先に、個人の仕事は後にするよう意識している」に「あてはまる」人は1500万円以上だと12.9%、400万円台だと6.1%と倍以上の開きがある。早く仕事を頼めば、その分相手は作業時間を多くとれる。これは相手の時間に対する敬意の差のあらわれだろう。

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詳細が未定でも、まずは相手の予定を押さえるが4.5倍

また、「人に仕事を頼むとき、細かい内容が決まっていなくても、まずは概要を伝え、相手のスケジュールを押さえるようにしている」に「あてはまる」人は、1500万円以上で14.6%と400万円台の4.5倍以上になっている。高年収の人が仕事を頼む相手も高年収というケースは多い。先述の潜在意識の活用や相手への敬意のほか、相手も忙しいため概要だけでも早く伝えないと、そもそも時間を確保してもらえないという物理的な要因も大きいと思われる。

納期も重要だ。「仕事を頼む際は、社内の相手であっても、納期を必ず伝える」人が1500万円以上だと34.3%、400万円台でも22.3%の人が「あてはまる」と回答したが、「納期を伝える際は、日にちだけでなく、時間も指定する」人になると、それぞれ15.5%、9.4%と半分以下になっている。私自身の経験でも時々、「金曜までに」と言われて、金曜の朝なのか、夜なのか確認しなければならないことがある。依頼するときには、時間に至るまで具体的に数字で示すほうがよい。