集中力が切れたら別の仕事で気分転換
これらのことは、ビジネスパーソンにとっても大いにあてはまる。「1日のうちで、自分が最も集中できる時間帯、場所を把握し、積極的に活用している」人が1500万円以上では15%以上なのに対して、400万円台では5%程度にとどまっている。また、「集中力が切れたら、別の仕事に集中する」「集中力が切れたら、場所を変えるなどして、仕事の続きに集中する」と回答した人は1500万円以上がそれぞれ約10ポイント上回っている。
このことからも、高い年収を得ている人は、成果を出すためにいかに集中するかを重視して仕事に取り組んでいることがわかる。「自分なりの集中モードに入るためのコツを持っている」にいたっては、1500万円以上の23.3%があてはまると回答し、400万円台の3倍以上になっている。高収入の人ほど、自分のパフォーマンスを最大化するための環境を経験的に知っているのである。
興味深かったのは、「朝は決まった時間に起きるより、疲れが残らないよう、体調や睡眠時間の長さを見て調整をしている」人が1500万円以上だと3割に達しており、400万円台の1.8倍以上となっている点だ。昔から早起きを推奨する人は多いが、成果を出すことに焦点をあてた場合、少し朝寝坊をすることでパフォーマンスが上がるならそれもよしとする考え方は、理にかなっている。
冒頭でも述べたが、高い年収を得ている人ほど生活の中での仕事のプライオリティは高く、実際に仕事に費やす時間も多い。「仕事は、残業してでも会社で終わらせる」と回答した人がともに約半数を占める一方で、アンケートからは1500万円以上の人に独特なワークスタイルを垣間見ることができる。「仕事が終わらないときは、残業するのではなく、家に仕事を持ち帰る」「仕事が終わらないときは、休日出勤するのではなく、家で仕事をする」人が1500万円以上でともに約2.5倍となった。
最近は情報管理上、持ち帰りの仕事を禁じている会社も増えているが、それを考慮しても大きな差である。1人で考える仕事はどこでもできるが、社員との協業や、社内の情報へのアクセスが必要な仕事は職場でしかできない。仕事の組み立てを考える時点で、そうした仕事の特性を踏まえて計画しているのだろう。
もうひとつ気になったのが、休日に家で仕事をする人が、1500万円以上では3割を超える一方、400万円台では13%に満たない点である。私の周りを見ても、年収が高い人は休日でも家で仕事ができる環境を整えている。環境というのは、仕事部屋など物理的なスペースの有無だけでなく、家族の理解と協力が得られている点も含まれる。
逆にこれらのマネジメントがうまくできているからこそ高い年収が得られているとも考えられる。給料が増えたら書斎を持ちたいという声を時々耳にするが、高年収を得ている人は、給料が安いうちから自宅で仕事ができる空間を持っているものである。
※すべて雑誌掲載当時