「想定外のこと」を増やせば、脳の老化は防げる

逆にいえば、感情の老化を防げば、かなり若々しさを維持できるということです。

高齢者が体力を維持するために体を使うことが重要なように、脳の機能も「思い、考え続けること」、つまり感情を動かすことが老化予防につながります。そのためには前頭葉を使うことが必要なのです。

前頭葉は「想定外なことへの対応力」という重要な働きを担っているため、「先の読めない不確実なこと」に積極的に取り組むことをおすすめします。平穏な日常生活では、前頭葉を使う機会が減り、その結果、感情が動かず、意欲が湧かなくなり、ますます脳を使わなくなるという悪循環に陥ってしまうのです。

前頭葉の機能は意欲や自発性、創造性につながるだけでなく、思考を切り替える際にも働いています。前頭葉機能が低下すると、一度カッとなると火がついたように怒り出す、いつまでも泣いているなど、感情のブレーキが利きにくくなります。これも前頭葉の機能が衰えたことが原因です。

足腰を衰えさせないために歩くことが大切なように、前頭葉も使うことが感情の老化防止につながります。

高齢者と若い女性が公園内をウオーキング
写真=iStock.com/bee32
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年下に“タメ口”を使われてもいいじゃないか

前頭葉というのは目新しく、珍しいことを行うときに働くものだと私は考えています。逆に前頭葉の機能が落ちてくると生活がルーティン化し、前例踏襲型になっていきます。

早い人ですと40代くらいから前頭葉の老化が始まるわけですが、このくらいの時期からルーティン化、前例踏襲型になる人は珍しくありません。行きつけの店しか行かなくなったり、同じ著者の本しか読まなくなったりするなどです。

前頭葉を使うためには、その逆のことをすればいいことになります。

誰かに何かを誘われたときに、億劫な自分がいても、やってみよう、行ってみようと、いったんは誘いに乗る姿勢が大事。年下に“タメ口”を使われるなど、カチンとくることがあっても、「それでもいいじゃないか」と自分に言い聞かせる。若々しくいるためにお金をかけて見た目をよくしようと努力するように、感情も若々しくしておくことを心がけましょう。

誰かと出かけることが増えれば、思考も柔軟になりますから、体や脳にもいいことなのです。