友達を作れなければ、「会話する場所」を作ればいい
繰り返しますが、だからといって無理やり一緒に時間を過ごす友達を作ろうと思ったり、趣味のサークルに入ったりしてもあまり意味はありません。
しかし、「友達の数」を増やすより「会話の数」を増やすことのほうが数倍簡単です。
前掲したグラフにある通り、高齢一人暮らし男性は女性よりも「仕事が楽しい」と感じる割合が高くなっています。仕事の内容自体が楽しい人もいるでしょうが、大部分は「仕事に行けば、そこで誰かしらと会話ができるから」です。
高齢の一人暮らし男性は、定年退職後も、何らかの形で別の仕事を見つけるなどで「仕事場に行く私」という環境を作ったほうがいいでしょう。現役時代と同じ仕事や待遇を求めてはいけません。あくまで、老後の人生を豊かにするための環境として、自分自身を仕事場へと運ぶのです。週5日働く必要はなく、2~3日でも十分です。
友達のいない高齢男性はどう生きるか
仕事の環境に身をおけば、自分が努力しなくても必要な会話が発生します。「コミュ力がないから」と思っていても、案外仕事だと思えばコミュ力を発揮できるものです。少なくとも、そうして何十年間、仕事をしてきたわけですから。
「定年退職後も仕事を続けるのか……」などと思わないことです。仕事は単なる手段で、目的は会話です。会話は、生きていくための日々の食事と同様に重要な「心のサプリ」となります。「会話を作ることがお仕事」だと思って取り組むくらいでいいのです。
別に友達を作ることは必須ではない。仕事上の会話以外でも、いつも行くコンビニの店員さんとの挨拶でも、街中の居酒屋でたまたま隣り合った見知らぬ人相手でもいい。誰もあなたのことなんか知りません。知らないからこそ、変に取り繕ったり、見栄を張ったりする必要もなくなります。刹那の会話でも楽しめるようになれば、一人暮らしの楽しさの扉を少しだけ開けることになるでしょう。