「尊敬する人物は高倉健」インド法人代表の日本観
語り手は貝印ブランドで知られる刃物総合企業KAIグループ、カイ・マニュファクチュアリング・インディア代表のパンディア・ラジェシュ氏。
KAIグループは2022年度のグループ連結売り上げが503億円。国内と国外の売上高が約47対53というグローバル企業だ。
パンディア氏は1956年、インドのグジャラート州で生まれ、日本にやってきた。2016年からカイ・インディアの経営に携わり、売上高を10倍に伸ばし、従業員を十数人から350人に増やした。同社のインド事業を発展させた人物である。奥さんは日本人。日本語も上手で、尊敬する人物は高倉健。
「日本人は海外でふるまう時は高倉健のように立派で、かつ、カッコよくあるべきです」と断言する。
なぜ今、インドが注目されているのか
【パンディア・ラジェシュ】在インド日本大使館などの調査によると、中国に進出する日本企業(2022年)は1万2706社、一方、インドに来ている日本企業(2022年)の数は1400社しかありません。
それはなぜでしょうか。インドの人口は14億1700万人。世界一です。中国よりも大きく、EU(4億5000万人)、ASEAN(6億8000万人)よりもはるかに大きいです。マーケットも大きい。それでも日本企業と日本人はインドを遠い国だと思っているから進出しないのです。
しかし、われわれ、KAIグループは2012年からインドにやってきて、工場と販売網を作りました。今の会長(遠藤宏治)がグローバル志向だったから、アメリカ、ヨーロッパ、中国、東南アジアにも進出しています。失われた20年以来、日本のビジネスパーソンはシュリンクしています。しかし、海外に出ていかなければ成長しません。特にインドです。インドが重要なのです。
私は2016年からインドの代表をやって、工場を作ると同時に販売網を整備しました。
われわれの商品を扱っている小売店は3種類あります。ひとつはモダントレード、日本でいうとハイパーマーケットなどの商業施設。
次がジェネラルトレード、日本でいうと商店街や個人商店。3番目がeコマース。これから大きく伸びていくのはeコマースでしょう。私たちの製品に限らず、衣料品、雑貨はこうした状況にあります。
貝印ブランドで売れているのは包丁、爪切り、カミソリです。いずれもインドの原材料を使って日本の技術で磨き上げたというのがわれわれのウリで、消費者もインドの原材料と日本の技術が組み合わさった点を評価しています。原材料も技術もふたつとも外国発というものでしたら、これほどは売れなかったと思います。