もし、新NISAの運用益を日々の生活費として使いたいなら、成長投資枠ではS&P500や全世界株式に連動した国内ETFを購入するのもいいでしょう。国内ETFなら、分配金を外貨(主にドル)から日本円に両替したり、二重課税の確定申告をしたりする手間がかからないので便利です。

一方、長期運用を志向するなら、運用コストが日本の投資信託やETFより安い米国ETFを購入するのも選択肢です。この場合、ドルで支払われた分配金を使って、米国の個別株や、さまざまなインデックス(「ナスダック100」など)に連動するものなど、つみたて投資枠では買えない投資対象に連動した米国ETFに投資して、資産運用の幅を広げてみるのがいいでしょう。

40代後半以上なら米国高配当株ETFという選択肢もある

成長投資枠の投資候補として、インデックスファンド以外に私がおすすめしたいのが米国の高配当株ETFです。

インデックスファンドと米国高配当株ETFの、どちらがいいかは、あなたの年齢にもよります。

まだ20代、30代で投資できる余裕資金が少ない人は、やはりS&P500や全世界株式に連動するインデックスファンドで資産を複利運用して、時間をかけて大きく増やしていくことを目指したほうがいいと思います。

一方、すでに40代後半から50代で老後が間近、もしくはすでに60代、70代で年金以外に収入がない方にとっては、資産自体を増やすより、保有する資産からより多くの現金を受け取って豊かな老後生活のために使うことのほうに、投資の重点も移っているはずです。

そういう方は、成長投資枠の上限1200万円を米国高配当株ETFで運用して、豊富なインカムゲイン(現金収入)を確保する選択肢もあります。

老後生活の理想は「年金+分配金>生活費」

労働収入がなくなったあとの老後生活の理想は、「年金収入+新NISA口座の高配当株からの年間配当収入>毎年の生活費」という状態です。

もし、年金と株主配当金や分配金収入だけで日々の生活費をまかなえているとしたら、もう株価の上下動、すなわち投資資産の評価損益を気にする必要がありません。

年金と資産運用から得られるインカムゲインだけで生活できれば、投資元本を取り崩して目減りさせることなく、優雅な老後が過ごせるでしょう。

むろん、世界的な大不況が来れば、投資している高配当株や高配当株ETFの株主配当金や分配金が減額されるリスクはありますが、より景気後退の悪影響を受けやすいインデックスファンドやグロース株に比べればローリスクといえます。