「カートボタンの直下」や「関連商品一覧」に掲載

もう一方の「スポンサーブランド広告」も同様に検索キーワードに連動して表示される広告だが、こちらは検索結果の最上部に一社独占で表示される広告サービス。スポンサープロダクト広告は商品ページにある商品名や価格、レビュー数などをそのまま広告クリエイティブに組み替えて配信するのに対して、スポンサーブランド広告は、任意の画像や動画と複数の商品を組み合わせられるのが特徴。新商品の認知拡大や、動画を活用した理解促進などを目的に活用されるケースが多い。

2つ目の商品連動型広告はAmazonならではの広告だ。広告を出稿したい特定の商品を指定して、出稿する。前述のスポンサープロダクト広告や「スポンサーディスプレー広告」がこの出稿方法に該当する。広告の掲載面は商品ページのカートボタンの直下や、関連商品一覧となる。よく活用される方法としては、競合商品を狙う方法だ。自社商品と比較検討されやすい競合商品を指定して、広告を出稿する。

【図表2】商品連動型広告
商品連動型広告はAmazon広告ならではのサービスだ。競合商品などを指定して、関連商品に広告として自社商品を掲載できる(出典=『小売り広告の新市場 リテールメディア』)

当然、そうした活用法は競合も実施してくる。そこで、自社の商品ページの広告枠を守るために、自社商品を指定して出稿することも、競合に狙われやすいトップブランドほど重要になる。攻守のバランスを求められるわけだ。

外部メディアにも配信できる「アマゾンDSP」

データ連動で出稿する広告は、スポンサーディスプレー広告と「Amazon DSP(デマンド・サイド・プラットフォーム)」が対象となる。いずれも、Amazonでの購買データや利用データを用いて、配信対象者を絞り込んだり、一度商品ページを訪問したものの、購入に至らなかった層に対してリターゲティング広告を配信したりできる。

【図表3】Amazon DSP
「Amazon DSP」は、Amazonの関連サービスや外部の広告枠に広告を配信できるサービス。一般的な広告ネットワークと同様の仕組みだが、Amazonのデータに基づいて配信できるのが特徴(出典=『小売り広告の新市場 リテールメディア』)
望月洋志、中村勇介『小売り広告の新市場 リテールメディア』(日経BP)
望月洋志、中村勇介『小売り広告の新市場 リテールメディア』(日経BP)

最大の特徴は、システム連係する外部のメディアの広告枠に対しても、広告を配信できる点にある。Amazon外からAmazon内の商品ページや自社サイトへと集客できる広告サービスとなっている。例えば、日ごろから美容商品を購入している層に対してYouTubeで動画広告を配信したり、閲覧履歴のある商品を再訴求して購買を促したりできる。

ただし、Amazon内での広告配信ではないため、広告接触する層が必ずしも買い物をしたいマインドになっていない可能性もある。そのため、スポンサープロダクト広告やスポンサーブランド広告などの、Amazon内に配信される広告に比べて、直接的な購買にはつながりにくい可能性もある。家電ブランドを複数展開するアンカー・ジャパン(東京・千代田)は、セール時期に外部集客を強化するために活用するなど、用途を絞って利用する。そのように目的に応じて広告商品を柔軟に組み合わせて活用することが肝要だ。

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