大河史上最も攻めた内容

4位 超絶話芸・落語と物語の協奏・五輪の裏話暴露には快哉かいさいを叫んだ

「いだてん」(2019年) 190点

観る側にも演じる側にも脱落者が多く、総じて袋叩きだったが、現代の汚れた五輪ビジネスとは異なる「スポーツに対する純粋で厄介な熱情」を描いた超大作でもある。

主要人物の多さ、展開の複雑な交錯が敬遠されたようだが、中村勘九郎・森山未來・阿部サダヲが汗(走る)と唾(しゃべる)の躍動感で魅了した、私を。いや、主役級だけではない。目を閉じても大勢のキャストが脳内でよみがえる。

黒島結菜や北香那のおしゃんな女子学生っぷり、寺島しのぶと菅原小春と杉咲花と仲野太賀がこぞって涙腺を刺激してくる。なんかわからんけどモップ持ってきた佐藤真弓に膝を打ち、右往左往する松重豊や松坂桃李に失笑。憎たらしい千葉哲也や浅野忠信の表情も忘れないし、勝地涼や古舘寛治が時々ちらちら視界に入ってきやがって、役所広司に至っては霊障として映り込む。脳内は騒々しいことに。

特筆すべきをまとめちゃうが、「落語と物語の絶妙な協奏」「1番にならない人をより鮮明に」「時代劇という許容範囲の中で最大限の差別的描写や毒舌揶揄やゆ」「スポーツを悪用する政治家や軍部への強烈な皮肉」「NHKの出自」……大河史上最も攻めた内容だ。4年に一度、五輪のたびに再放送してもいいと思うのよね。

トーチを持つ手
写真=iStock.com/imagedepotpro
※写真はイメージです

惜しくもランク外になった「どうする家康」

圏外についてもちょっとだけ触れておこう。

6位「どうする家康」(2023年)120点、7位「西郷どん」(2018年)100点、8位「軍師官兵衛」(2014年)80点、9位「青天を衝け」(2021年)50点、10位「花燃ゆ」(2015年)・「八重の桜」(2013年)同点40点。

見どころはあったはずだが、ほぼ「断念型」だ。中盤から後半で急速に興味を失い、最終話だけは確認した作品も多いため、多くを語ってはいけない。

「どうする家康」の点数が予想以上に高いのは記憶が新しいこと、「道化・救世主」項目で山田孝之と松本まりかの奮闘を評価したから、かな。