ジャズには一体どんな魅力があるのか。ジャズ評論家の後藤雅洋さんは「一見デタラメに見えるアドリブも実は西欧音楽由来のコード進行に従っていて、演奏者によって個性が出る。ツボさえつかめば、お気に入りのミュージシャンならではの『聴かせどころ』が一層魅力を増していく奥の深い音楽だ」という――。

※本稿は後藤雅洋『マンガで学ぶジャズ教養』(扶桑社)の一部を再編集したものです。

サックス奏者
写真=iStock.com/Nikolay Tsuguliev
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「敷居の高い音楽」への挑戦者が増えている

いま、「ジャズ」が大人が聴くおしゃれな音楽として注目を集めています。確かにジャズ喫茶でコーヒーを飲みながら静かに演奏に聴き入るダンディな紳士の佇まいには、「自分の世界」を持っている大人の風格が感じられますね。

また東京・青山や丸の内の華やかなジャズクラブで、ワイングラスを傾けながら海外ミュージシャンの演奏を楽しむ男女の姿は、ジャズがカジュアルな音楽として幅広いファン層に受け入れられていることを示しています。

その反面、ジャズがロック、ポップスに比べ、「敷居の高い音楽」というイメージを持たれていることも確か。しかし、だからこそ挑戦してみようという先端的な意識を持った音楽ファンが最近増えているのです。

「何かわかっている人」への憧憬

ジャズには「メロディがわかりにくい」という最初の敷居が立ちはだかっています。しかしジャズファンはそんなこと当たり前だよという顔をしてジャズを楽しんでいます。ちょっとうらやましいとは思いませんか?

ぜひ同じ音楽ファンなのに「この違いは何なの」と憤ってください。よく映画館で字幕のないところで笑っている人がいますよね。いかにも「オレは英語がわかるんだぞ」と誇示しているみたいで若干いやみったらしいのですが、ちょっと憧れちゃうところもあったりして……。

ここは素直に背伸びしちゃいましょうよ。英語のリスニングも要は慣れ。同じようにジャズだって慣れちゃえばポップス感覚で楽しめるようになるんです。