中学受験の勉強が「小3の2月から」なのには理由がある

わが子を将来、医者にしたい。そう熱望する家庭では、「医学部進学」=「中学受験で難関校に合格させる」というシナリオがすでに出来上がっている。確かに、私立中高一貫校のホームページを見ると、いわゆる偏差値が高い難関校ほど医学部進学者が多い。そういう家庭では、何がなんでも中学受験で難関校に合格させなければと、親に力が入る。そして、まわりよりもわが子ができるだけ有利な立ち位置でいられるように、低学年から塾通いを強いる。

一般的に中学受験の勉強は、小3の2月からスタートする。なぜなら、中学受験で求められる力には抽象的な思考が不可欠で、それが理解できるようになるのが9歳・10歳頃からとされているからだ。それ以前に勉強したところで、概念の理解は難しいし、たとえ「できた」「わかった」ように見えても、それはパターンで覚えているだけで、本当に理解しているとは言い難い。

それよりも、幼児期から低学年のうちに培っておきたいのが、これから本格的な勉強が始まる前の“学びの土台”となる素地づくりだ。この時期の子どもには、遊びや日常生活を通じて、五感を使っていろいろなことを感じとる経験を積ませてあげることが何よりも大切。それをまるっと省いて、「勉強らしいこと」だけをさせても、その子の本当の力として使えないことが多い。

公園でサッカーをしている子供たち
写真=iStock.com/TATSUSHI TAKADA
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早い時期から勉強をやらせ過ぎると中学受験で伸び悩む

また、早い時期から受験の先取り勉強をさせると、親が成績の順位や偏差値などの目先のことばかりに目が向いてしまい、子どもが本来持っている力や可能性に気づいてあげられないという残念な状況を生み出しやすい。そして、「早く勉強しなさい」と急かしたり、「どうしてこんな点数なの?」と子どもを責めたりするネガティブな言葉が増え、本格的な受験勉強が始まる前に勉強に対して苦手意識を植え付けてしまったり、嫌いにさせてしまったりするのだ。

こうなってしまうと、中学受験では伸び悩む。スタート地点の4年生のうちは、それまでの貯金で上位クラスに滑り込めたとしても、5年生、6年生と学年が上がるにつれて学習内容が高度で複雑になってくると、ただパターンで解いたり、丸暗記で覚えたりといったこれまでの勉強のやり方が通用しなくなり、じわりじわりと成績を落としていく。そして、6年生の入試時には、医学部を狙えるような学校にはとても行けないというレベルにまで落ち込んでしまうケースは少なくない。