壊滅的に英語ができない日本人

日本で暮らす外国人たちは、日本を見下しているわけでは決してない。しかし、常にどこかしらの違和感を持っている。それはG7に加盟する先進国でありながらも、異常に低英語能力への落胆にも表れる。日本人が駆使する英語は「Engrish」と呼ばれている。本来は「English」だが、日本人は壊滅的に「R」と「L」の発音の使い分けができない。「らりるれろ」は日本人にとっては同じだが、英語では「R」と「L」はまったく異なるもの。

Lightは「軽い・光」などの意味だが、Lを日本人にありがちなRで発音すると「右・正しい」になってしまう。これは元の言語の発音の仕組み上、やむを得ないことではある。ただ、発音以外にも日本の英語があまりにも無茶苦茶なことにはうんざりしているようで、それを見つけたら写真撮影をし、SNSのEngrishコミュニティでシェアしたりしている。

街中に「間違った英語」が溢れている

1990年代前半、「夜間押しボタン信号」にはこのように書かれていた。正確ではないが、私の記憶を辿ってみる。

中川淳一郎『日本をダサくした「空気」』(徳間書店)
中川淳一郎『日本をダサくした「空気」 怒りと希望の日本人論』(徳間書店)

「To cross the street, push the button at night.」

これを訳すと「この横断歩道を渡る時は夜のうちにボタンを押してください」となる。テレビ番組で大橋巨泉氏が指摘をし、その後真っ当な表記に変わった。

最近でも某家電量販店の「万引きは犯罪です 見つけた際は直ちに警察に通報します」の警告の英訳が無茶苦茶だとネットで話題になった。そこには「The thief will immediately call the police.」とある。これを訳すと「泥棒はすぐさま警察を自ら呼びます」とあり、「なんという立派な泥棒だ!」と嗤われた。本当なら「Shoplifting causes immediate police notification.」と書けばよかっただろう。

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