痛み止めを飲むタイミング

もう1つは、処方する医師の説明不足です。「痛いときに痛み止めを使いましょう」という説明だけでは、具体的にいつ使えばよいか分からないのは当然なことです。

私は患者さんに、いつ痛み止めを使うべきか分かりやすく説明するために、いつも痛みを火事にたとえてお話ししています。火事が起こったら、誰だってすぐに水をかけますよね。きっとすぐ消防車を呼ぶでしょう。痛みは火事と同じです。火のように痛みも燃え広がって強くなるのに、なぜか痛みのときは水をかけるのを待ってしまう患者さんが多いのです。すぐに痛み止めを使えばいいのに。

このような説明です。ボヤが起きたらすぐ水をかけるように、痛みだしたらすぐに薬を飲んでよいことを強調します。

錠剤と、水の入ったグラスを持つ人の手
写真=iStock.com/Kanur Ismail
※写真はイメージです

痛くなる前に飲んでもいい

さらに一歩進んだ使い方も紹介します。予防で使用するという方法です。

これから痛くなることが予想されるときは、前もって痛くならないように飲んでおくという作戦です。痛み止めが効いてくるまで、飲んでから時間が多少かかります。痛みだしてからでも遅いのです。

たとえばこれから食事をする、外出する、寝るといったタイミングで、痛くなりそうであれば先に飲んでおくとよいでしょう。私の場合は、喉の痛みなので食事の前、そして楽に眠れるように寝る前に飲む工夫をしていました。火事が起こりそうなときに、前もって水を撒いておくイメージです。

痛み止めの使い方ひとつで、だいぶ生活の質が変わってしまいます。痛みを我慢することは決してよいことではありません。我慢は美徳ではないのです。ぜひ、痛みで困っているすべての患者さんが、積極的な痛みの治療を行い、よりよい生活を過ごしていただけることを願っています。