大麻グミによる健康被害が続出している。なぜ危険な商品が市場に出回ってしまったのか。国際ジャーナリストの矢部武さんは「規制が追いつかず、業者と当局のイタチごっこが続いている。この大麻グミという問題は、日本の薬物政策の失敗を象徴している」という――。
大麻グミで体調不良者が続出
大麻草の成分と似た成分を含んだいわゆる「大麻グミ」を食べて、体調不良を訴えるケースが続出している。
警視庁などによると、11月4日、東京都小金井市の武蔵野公園であったお祭りに来場した40代男性が「よかったら食べない?」などと言って配った大麻グミを食べた6人が嘔吐やめまいなどの症状を訴え、5人が病院に搬送された。またその前日には、同じくグミを食べた20代の男女4人が東京メトロ押上駅で体調を崩して病院に運ばれた。
さらに大阪府内でも、大麻グミを食べて吐き気や痙攣を起こした人が相次いだ。大阪府警によると、今年に入ってから救急搬送された人は十数人にのぼるが、多くは20代~30代で、「SNSで知り合った人から10粒入りを7000円で買った」という20代の男性もいたという。
いったいなぜ、大麻グミによる健康被害が続出しているのか。
ひとつは騒動が起きた時点では合法だったからだろう。10粒入り7000円などの高価な商品をインターネットでリスクなく簡単に販売できたことは、業者からすれば魅力的だろう。
次に、「合法で安全」が売り文句だったことがある。「合法であれば安全」と勘違いした消費者が、気軽に購入してしまったのではないか。
インターネットでは大麻グミや大麻クッキー、CBDオイルなどが「合法大麻」として販売され、誰でも手軽に入手できるようになっている。しかし、ここで注意しなければならないのは製品に含まれる成分が合法かどうかだけでなく、本当に安全で健康被害はないのかということだ。それを確認するには大麻の主成分であるCBD(カンナビジオール)とTHC(テトラヒドロカンナビノール)について理解する必要がある。