芸人の活動は無限大に広がっている
――YouTubeだけでなく、小説やドラマ出演など幅広いジャンルで活動されています。なぜ新しい分野に挑まれるのでしょうか。
僕はYouTubeやドラマ、小説、マンガの原案に関わることもすべて芸事だと思っています。今は自分を表現する方法がたくさんあるし、「笑わせたい」という気持ちはなにをしていても頭から離れません。なので、小説もコントと同じようにつくることを心がけました。
『説教男と不倫女と今日、旦那を殺す事にした女』というタイトルだけ見ると、すごくシリアスな小説だと思われそうですが、セリフの応酬やクスッと笑えるワードなどを組み込んでいます。
まわりの人から見ると、未知の仕事に挑戦していると思われるのかもしれませんが、仕事のジャンルは違っても自分が面白いと思うことを追求する気持ちは変わりません。
例えばSNSや動画配信など、手軽に自分の思っていることを表現できるようになっています。僕自身、コロナ禍で家にこもっているときになんとなく「小説でも書いてみるか」と思ったのがきっかけで小説を出版することになりました。当時は「小説家になろう」という考えは1ミリもなかったですが、出版社の編集の方の目に留まったおかげで、自分の半生を重ねた小説が出来上がりました。
最近では、お笑い芸人が本を出版するというのはエッセイやビジネス書、小説などかなり受け入れられていると思います。40年前にお笑い芸人が本を出版するというと、かなりハードルが高かったでしょう。
数々のお笑い芸人がこれまで「本を出版しませんか?」という声に対して「やります!」と返事をして面白いものを残してきてくれたからこそ、僕は小説を書けた。僕は小説以外にも、ドラマに出演させていただいたり、マンガの原案を考えたり、いろいろな形で自分の魅力を表現できているので、すごく恵まれているなと思います。
ダメなことを自分で直そうとしなくなったら終わり
――たいへんな行動力ですね。
いろんなことをさせていただいていますけど、だからといって行動力があるわけではないんです。むしろ、僕はなかなか行動できない。小説を書くときも、コントのセリフを考えるときも先延ばしにしてしまう癖があるので。
ではどうして小説が書けたのか、というと一気に5時間通して書く時間を定期的につくるからなんです。そうやって、行動力を集中力で補って、なんとかギリギリ書き上げるということをしていました。
自分の特性を知るのは大事ですが、僕はその特性を理由に自分の悪いところを直さないという考え方はあまり好きではなくて。
例えば「だらしないのが自分だから~」と言う人を僕はかっこ悪いと思います。他人から言われるならまだしも、ダメなことを自分で直そうとしなくなったら終わりだなと。だから、行動力についてはまだまだこれから改善の余地があると思っています。