今回なぜAIに制作を任せる実験を行なったのかといえば、私が出す本が売れるのは内容が新しいからなのか、内容の焼き直しでも構わないのかを検証するためだ。

結果は明らかで、内容は10年前から私が言い続けていることだとしても普通に売れる。ある意味くだらないのだが、あまりに先進的なことはむしろ読者が理解できないことも多い。なので、AIが時代に合わせて過去の発言をまとめるほうがちょうどいいのかもしれない。

編集者やライターは不要になる

 少し話がずれたが、今後、こうしてAIを使いこなす新しい作家が出てくるとすれば、ほとんどの編集者は不要になるだろう。

そもそも当初、私は自分自身で本を書いていた。ただ、それも最初の2~3冊ほど。それからはライターにインタビューしてもらい書いてもらう形式にした。ある時期からそれもやめ、テーマに沿って私のブログやメルマガを再編集してもらうことにした。途中まではその原稿を私自身でチェックしていたのだが、最近はスタッフや校正チェックツールに完全に任せている。

そして今後は、これらの作業がAIだけで完結するかもしれない。著者である私としては、人間の編集者とライターによって作られた本なのか、それともAIによって作られた本なのかはどちらでもいい。

写真集もAIでよくなってきている。キンドルの「写真」のカテゴリーのランキングの上位にAIの写真集が入っていたことがあった。つまり、被写体が人間であることすら必要ないことが証明されてきている。

ちなみに、私が出資しているパパ活アプリの会社でも、サービスのバナーにAI美少女を掲載したことがあった。すると、効果が3倍に上昇したそうだ。もちろん、その美少女はAIなので100万通りであろうが1000万通りであろうが、パターンを無限に生成して試すことができる。広告クリエイティブの世界で今後も生身の人間を使い続けるのは、コスト面からいっても非合理的になっていくだろう。

今後は、F1のレースと人間の陸上競技が分かれているように、人が書いた本とAIが書いた本のカテゴリーは分かれるかもしれない。結果、AIが書いた本が売れることだってあるだろう。

ついでに通信社の記者の仕事もAIに代替してもらったほうがいい。考えてみれば、通信社の記者がやっているのは情報の要約だ。へんに人間の思想が入り込んでしまうくらいなら、要約作業が得意なChatGPTに正確な情報を提供してもらうほうがよっぽどいい。