※本稿は、TBSラジオ「文化系トークラジオLife」の番外編ポッドキャスト「働き者ラジオ」の第18回「男女賃金の『説明できない格差』」と第19回「『ロマン』と『ソロバン』」を再編集したものです。
同じ職種・等級でも女性のほうが7%安かった
【山本ぽてと(フリーライター)】先日話題になったメルカリが男女間の賃金格差を公表したニュースを見ましたか?
【工藤郁子(大阪大学 社会技術共創研究センター 招聘教員)】平均賃金に男女で37.5%の差があって、女性社員の収入は男性の約6割だという数字が、見出しになっていましたね。
【山本】「女性が役職についていないから、男女賃金に格差が生まれるんだ」という内容なのかなぁと予想しながら記事を読んでいたのですが、どうもそれだけじゃないらしい。興味深いと思ったのは、同じ職種・等級で分析してみても実は男女で7%も差があったことです。
【工藤】その差について、メルカリでは90%以上が中途採用で、報酬オファーが前職の給与を考慮した金額になることが影響しているという分析でしたね。「女性のほうが賃金が低いという社会的な構造があり、そこを断ち切ることができていなかった」と。これを「説明できない格差」(unexplained pay gap)と呼んでいました。
【山本】男女ジェンダークオータ制、つまりまずは女性を一定数入れようとするアクションの話は、最近よく言及される話です。ですがこの「説明できない格差」は同じ職種・等級でも起こっているからこそ「説明できない」のだなと感じましたね。このあたりの話、もう少し掘り下げてみたいです。
というわけで、今回はメルカリでダイバーシティ&インクルージョン(D&I)を担当されている趙愛子さんをお呼びしました。
【趙愛子(メルカリ I&D Team Manager)】よろしくお願いします。
【工藤】メルカリの調査で判明した「説明できない格差」と、社内で実際に行ったペイギャップの是正アクション、その後社員の方からどのような反応があったかについて、いろいろとお話を伺っていきたいと思います。