ただ、数ある検査の数値のなかでも、血圧や血糖値、コレステロール値、赤血球数などは、病気との因果関係が認められます。「血圧を下げましょう」という指導が行われるのは、このためです。

しかし、どのぐらい下げるかは曖昧です。かつては血圧150くらいでも血管が破れることがありましたが、それは日本人の栄養状態がとても悪かったころの話です。現代では、動脈瘤がない限り血圧が200でも破れることはありません。

血圧測定
写真=iStock.com/Casanowe
※写真はイメージです

今のおトシヨリは、脱脂粉乳を飲んで育ってきましたし、その後も十分なたんぱく質をとっているので、血管は丈夫です。ただ、仮に血圧が180で、頭痛や吐き気、めまいなどがあるなら、その人にとっては高いということです。そのときは、血圧を下げる薬を出してもらいましょう。

異変がなく体調になんの問題もないのに、数値だけで「異常」と判断され、薬を飲み続けるというのはおかしいのです。自分の体の状態に耳を傾けて、変だと思ったら薬を飲む。それが基本なのです。

血圧、コレステロール値、血糖値は、ちょっと高めがいい

健康診断で「異常」「再検査」と指摘される数値は、コレステロール、血圧、血糖値が多いと思います。そのためこれらの薬を飲んでいるおトシヨリも多いことでしょう。薬を服用して血圧や血糖値を下げたりするのは、心筋梗塞や脳梗塞、脳卒中のリスクを減らすためです。

実際に、健康診断の基準値どおりに血圧や血糖値を下げてしまうと、頭がボーッとしてしまうことがよくあります。やる気も出ません。考えるのもめんどうになってきます。このように、薬には副作用があることを忘れてはいけません。

こんな話を聞いたことがあります。80歳の男性は、毎月病院に行き、血圧やコレステロールの薬を処方されていました。あるとき、娘さんが男性の家を片づけていると、押し入れに手をつけていない大量の薬を見つけたそうです。その男性は、薬を飲んでいませんでした。

でも、娘に注意されるので、病院には律儀に通っていたのです。娘さんが理由を聞くと、「薬を飲むと体がだるくなって、畑仕事ができなくなるから飲まなかった」と答えました。薬を飲まなくても、血圧も血糖値もちょっと高めでも、元気に生活しているのですから、男性の判断は正しかったように思います。

無理して薬を飲む必要はない

私は、この男性のように体に違和感を覚えて自分で調整している人が、少なからずいると思っています。処方された薬を飲み続けることで、なんらかの不調を感じるのであれば、それをはっきり医師に伝えなければいけません。

「薬を飲むと調子が悪くなるので減らしたい」「飲みたくない」と申し出ましょう。伝えない限り、医師は薬を出し続けますから、無用な薬にお金を払うことにもなり、無駄になってしまうからです。