「どの店に商品がいくつあるか」を伝えることで差別化
――「ガチャガチャの森」が先鞭をつけた形で、追随する他の専門店の出店がすごく増えています。まさに戦国時代ですが、御社として差別化はどんな形で考えられていますか。
【長友】我々は今POS(販売時点情報管理)システムを全店の全台に展開しています。「何が、いつ、どこで売れたか」というデータをリアルタイムで取れるようにしました。店の立地が違えば売れ筋も変わりますので、各店の売れ筋の数量をデイリーに把握して今後の発注に結びつけて、品切れを起こすなどのチャンスロスをつぶすようにしたいと考えています。
それから、「どこのお店に、どの商品が、今何個ある」という情報が取れるので、「ガチャガチャの森」のアプリをつくって、お客様に情報提供できるのではないかと考えています。これらは他社ではまだ提供できていない、当社ならではの差別化です。
それから2024年春までに新しい物流センターを開くのですが、完全に自動仕分けで相当な物量を土日も出荷できる体制を構築することで、売り場のチャンスロスをつぶしていき、売上の向上とお客様へのサービス向上につなげたいです。
どんなに完成したビジネスでも発想の転換次第で変わる
――御社はガチャガチャという、一見固定化されたように見える業界に新風を吹き込みました。ガチャガチャ業界以外の業界に対して、何か提言のようなものはあるでしょうか。
【長友】固定観念から脱却することの大切さですね。たとえば、民事再生した際に従来型のアミューズメント施設をかなりリストラしたのですが、その中で出てきたのが「ニコニコ・ガーデン」という新業態です。あれには単なる子どもの室内遊び場ではなく、「お母さんに優しい休憩場、ママ友づくりの場」という裏コンセプトがあるんです。
低料金でお子さんを連れて遊びに来られるわけですが、お子さんたちが走り回っている横で、テーブルに座っているお母さん方には飲み物を無料で提供して、持ち込みも可にしています。アミューズメント施設としての売上自体は大したことはないのですが、ゲームセンターを併設しているので、帰りにUFOキャッチャーで何百円か落としてくれたらそれで十分というビジネスモデルがうまく成り立ちました。
どんなに完成したビジネスでも、発想の転換次第で変わるということはあらゆる業界に共通することではないでしょうか。